元人気アイドルグループ「SPEED」のメンバーから政界へ転身した今井絵理子氏(1983年生まれ)は、2016年の第24回参議院選挙に自由民主党公認で比例代表から初当選し、現在2期目を務める参議院議員です。
沖縄県出身で、高校卒業後に芸能活動や障がい児支援の講演などを経て政治の道に入った異色の経歴を持ちます。幼少期からの聴覚障がいを抱える長男を育てた経験が政治を志す大きなきっかけとなり、本人も「政治は希望。年齢や性別・障がいの有無に関わらず、すべての人がお互いを尊重し認め合える社会の実現を目指します」とスローガンに掲げました。
2019年には内閣府大臣政務官(沖縄及び北方対策、復興担当)に就任し、沖縄振興や被災地支援に携わりました(第4次安倍第2次改造内閣)。2024年11月発足の第2次石破内閣でも再び政務官として沖縄・北方領土問題を担当し、現地視察や地方との協議に奔走しています。
また党内では参議院国会対策委員会副委員長や青年局次長、ネットメディア局次長などを歴任し、若者やネット世論への発信役も担ってきました¹。
本レポートでは、2015年から2025年6月までの約10年間にわたる今井議員の政策・立法活動を振り返り、公約との整合性や政治的な足跡を包括的に検証します。有権者が同氏の活動実績と姿勢を正しく評価できるよう、事実に即して丁寧に分析していきます。
今井議員が直近の2022年参院選で掲げた選挙公報・マニフェストからは、彼女の政治姿勢が明確に浮かび上がります。キャッチコピーには「政治は希望」の力強い言葉が掲げられ、「年齢や性別、障がいの有無に関わらず、すべての人が互いに尊重し認め合える社会」を目指す決意が示されました。これは、誰一人取り残さないインクルーシブな社会づくりを自身の使命とする宣言と言えます。その背景には、生まれつき聴覚障がいを持つ長男を育ててきた体験から、障がい者や弱い立場の人々に光を当てたいという強い思いが感じられます。
公約の柱は大きく6つに整理されていました。
第一の柱:すべての人が尊重され認め合う社会へ
この理念を掲げ、社会的障壁(バリア)の除去と多様性の尊重を最重視しています。ここにはバリアフリーや障がい者支援の推進が含まれ、実際「情報保障の確立(聴覚障がい者への情報アクセシビリティ)」や「誰一人取り残さない防災」をキーワードとして訴えてきました。
第二の柱:女性や若者が輝ける社会へ
コロナ禍で顕在化したドメスティックバイオレンス(DV)や性暴力、孤独といった問題に取り組み、未来に希望を持てる社会を作るとしています。特に若年層・女性の自殺増加への危機感から、相談支援体制の充実(後述の「DV相談+」開設など)を公約に盛り込みました。
第三の柱:安心して子育てができる社会へ
超少子高齢社会の中で子どもを「国の宝」と位置付け、児童が生き生き成長できる環境づくりを約束しています。具体的には児童手当の拡充や医療的ケア児への支援、ヤングケアラー問題の対策など、子育て家庭への継続的サポートを訴えました。実際、今井氏自身が中心メンバーとなって自民党若手議員による「子ども家庭庁」創設の勉強会に参加し、省庁横断の子ども政策推進を提言するなど、子育て支援策の強化に意欲を見せています。
第四の柱:実効性のある防災対策の推進を
災害大国日本で政治の責務としての防災を強調しました。特に東日本大震災で障がい者の死亡率が健常者の約2倍に上った教訓から、避難行動要支援者名簿の活用や個別避難計画策定の重要性を説き、災害時に障がい者や高齢者を取り残さない対策を訴求しています。
第五の柱:手話の普及と理解の促進を