太田房江(おおた ふさえ)議員は、日本初の女性知事として大阪府知事を2期務めた後、2013年に自由民主党公認で参議院議員に初当選した政治家です¹²。参議院では大阪府選挙区選出で、2019年7月の第25回参院選にも勝利し通算2期(在職12年)を務めました¹。
1951年広島県生まれ。東京大学経済学部を卒業後、通商産業省(現経済産業省)に25年間奉職し、岡山県副知事や通産省審議官等を歴任した経歴を持ちます³⁴。2000年に全国初の女性知事として大阪府知事に就任し、8年間府政を担いました⁵。
国政転身後は党副幹事長や女性局長、厚生労働大臣政務官、参議院文教科学委員長、参院内閣委理事など要職を歴任し、岸田政権下では経済産業副大臣兼内閣府副大臣にも起用されています⁶。
本レポートでは、2015年から2025年6月までの太田議員の活動を対象に、有権者がその歩みと成果を立体的に理解できるよう分析しました。大阪府出身の参議院議員として地域発展と国政課題にどう取り組んできたのか、豊富な官僚・行政経験をどう活かしたのかを描き出します。
太田議員が直近に当選した2019年参院選では、「さぁ新時代!これから大阪が熱くなる!」をキャッチフレーズに掲げ⁷、5つの重点公約を打ち出しました⁸⁹。
第一の公約として「2025大阪・関西万博の大成功」を掲げました。大阪誘致に成功した2025年の国際博覧会(万博)を地域成長の起爆剤と位置づけ、その開催をゴールではなく新たな産業創出のスタートと捉える構想を示しました¹⁰¹¹。
万博を「世界都市・大阪」実現への出発点とし、関連イベント(ワールドマスターズゲームズ2021、東京五輪、ラグビーW杯2019、百舌鳥・古市古墳群の世界遺産登録)も含め成功させると約束しました¹²。
特に万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」にちなみ、大阪を健康長寿産業の世界的拠点に育てるビジョンを強調しました¹³¹⁴。例えば万博後の夢洲(会場跡地)に国際的な健康長寿研究センターの設立を提案し、各国の伝統医療や長寿法の科学的検証発信拠点とすることで大阪の新産業を興す狙いを語っています¹³¹⁴。
第二の公約「大阪のインフラ整備を加速」では、大型交通インフラを中心とした都市基盤の充実を掲げました。具体的には北陸新幹線の大阪・関西空港延伸やリニア中央新幹線の大阪早期開業、なにわ筋線の早期着工、関西(三空港)の容量拡大、阪神高速・高速道路網の延伸など、国と大阪府・市が連携して進める大型プロジェクト群が列挙されました¹⁵。
第三の公約「災害に強い街・大阪を次世代に」では、防災インフラと老朽更新への取り組みです。太田氏は避難所環境の改善に向け、「TKBA」(トイレ・キッチン・ベッド・エアコン)というユニークな頭字語で必要設備を提唱し、国主導で避難所のトイレや調理設備、簡易ベッド、空調を整えるべきだと訴えました¹⁶。
また全国規模の3か年緊急インフラ対策(総額7兆円)を大阪にも着実に実施し、老朽化した河川・道路・橋梁・ライフラインの改修を進める計画を示しています¹⁶。
第四の公約「人にやさしい街・大阪をつくる」では、子どもを社会の宝・未来の希望と位置付け、子どもを守り育てる切れ目ない支援策の充実を掲げました⁹。児童相談所の増員や虐待防止体制の強化、妊娠期から就学期まで親子を支える「日本版ネウボラ」の全国展開(フィンランドの包括的子育て支援にならった制度)に言及し、国・自治体・医療・福祉ネットワークを総動員した包括支援を約束しました⁹。