礒﨑哲史(いそざき てつじ)議員は、労働組合出身の国民民主党参議院議員(比例代表)です。1969年東京都生まれ[¹]。東京電機大卒業後、日産自動車労組で副執行委員長などを務め、労働現場から政治を志しました[²]。
2013年の第23回参院選で民主党比例候補として初当選しました[³]。2019年の第25回参院選でも再選を果たし通算2期目です[⁴]。
2018年の民進党分裂を経て一時無所属となりましたが、2021年3月に新・国民民主党(玉木雄一郎代表)に入党し[⁵]、2022年から党副代表および広報委員長代理を務めています[⁵]。参議院では経済産業委員長(2019年)や参議院国会対策委員長(2022–2024年)など要職も歴任し[⁵][⁶][⁴¹]、在職中は一貫して「対決より解決」の姿勢で政策提言に取り組んできました。
本レポートでは、2015年から2025年までの活動記録をもとに、礒﨑議員の公約、立法活動、国会発言、党内外での役割、政治資金、情報発信まで包括的に分析します。
礒﨑議員が直近に当選した2019年参院選(第25回、比例区)では、所属する国民民主党の公約「新しい答え2019」のもとで戦いました。そのマニフェストの掲げるスローガンは「家計第一」です。
玉木雄一郎代表は「一番訴えたいのは『家計第一』という考え方だ。GDPの6割を占める消費を活性化するには家計を徹底的に応援する総合政策が必要だ」と述べ、アベノミクスが大企業を潤す一方で家計や地方に恩恵が及ばず実質賃金も伸びない現状への危機感を示しました[⁷]。
マニフェストでは、可処分所得を増やし内需主導の成長を実現することを目標に、具体的な政策の柱を掲げています。
児童手当を高校卒業まで延長し支給額も一律月1万5千円に増額[⁸]、低所得の年金生活者に月5千円の給付で「暮らせる年金」を実現[⁹]、年収500万円以下世帯の家賃に月1万円補助[⁹]など、子育て世帯や高齢者への直接支援を充実させる公約が並びます。
年金だけで安心できない老後への不安に応えるため最低保障的な給付を設け、若年層には教育無償化も視野に入れる方針でした。実際、礒﨑議員は当選後も党の少子化対策PTに関与し、児童手当拡充の議論に参加しています(児童手当拡充法案の提出には至りませんでしたが、2023年には政府が児童手当の所得制限撤廃と対象年齢引き上げに踏み切るなど一定の前進がみられました)。
地方の暮らしを支えるため、乗合タクシー普及支援(ドアツードア移動の低料金化)や高速道路料金の上限引下げ(休日上限1,000円、平日2,000円)[¹⁰]、農家への所得補償強化(日本の「農」と「食」を守る)[¹¹]を打ち出しました。
加えて、「孤独担当大臣」の設置や全国の駅前・飲食店への無料Wi-Fiスポット整備支援など、地域コミュニティの維持・デジタル環境整備にも踏み込んでいます[¹⁰]。
礒﨑議員自身、東京出身ではありますが、自動車産業の地盤である愛知など各地の労組と結びつきが強く、地方創生策にも理解が深いです。例えば高速料金値下げについては地方観光支援策として効果を訴え、農業者所得補償についても農村の過疎化防止策として国会質問で度々取り上げました。
マニフェストは消費税増税(2019年10月の8%→10%引き上げ)に明確に反対し[¹²]、「賃上げなくして成長なし」として企業収益が労働者に還元される仕組みを重視しました[¹³]。
具体的には法人税に累進構造を設け大企業と中小企業の負担格差を是正、社会保険料も中小企業には軽減措置を講ずるとしています[¹³]。また、消費税以外の選択肢として「トリガー条項」の凍結解除(後述)や時限的な減税の検討も示唆しました。