熊谷裕人(くまがい・ひろと、1962年3月23日生まれ)は、埼玉県出身の政治家で、立憲民主党所属の参議院議員(埼玉県選挙区、当選1回)です¹²。
大学卒業後に民間企業勤務を経て国会議員秘書となり、新進党・民主党の結党に参画するなど長らく政界を支えてきました²。2007年にさいたま市議会議員に初当選し、「Children First!すべては子どもたちのために!」を信条に市議3期(大宮区選出)を務めました³⁴。
2019年7月の第25回参院選埼玉選挙区で初当選(改選数4)⁵⁶。以後、2025年現在まで参議院議員として在職し、財政金融委員会委員、議院運営委員会理事、憲法審査会幹事、政治改革特別委員など国会内の要職を歴任しています⁷⁸。党内では参院国会対策委員長代理や埼玉県連代表代行などを務め、政策立案や組織運営の中心として活躍しています⁹。
本報告では、2015年から2025年6月までの熊谷議員の政治活動を多角的に分析します。熊谷氏は遅咲きの国会議員ですが、豊富な現場経験と政策通ぶりを背景に、国会論戦や法案提出、地域課題への取り組みで独自の存在感を示してきました。その軌跡を、公約と実績の照合、立法・発言記録、党内外での活動、政治資金の透明性、そしてSNS発信まで総合的に検証します。有権者が熊谷議員の歩みを正しく評価できるよう、事実に基づき丁寧に記述していきます。
熊谷裕人議員が掲げた直近の選挙公約からは、「弱い立場の人を守る政治」を軸とした温かなビジョンが浮かび上がります。2019年参院選の埼玉選挙区選挙公報では、スローガンに「あなたの笑顔を守りたい!」を掲げ、弱者に寄り添う政治を訴えました⁴¹⁰。公約の柱は、大きく7つのテーマに整理されていました。
第一に「命を守り抜く政治」。熊谷氏は東日本大震災のボランティア経験などを踏まえ、防災庁の早期設置や災害緊急援助隊の常設化など防災体制の強化を最優先課題に据えました¹¹。また児童虐待といじめの根絶に向け、国と自治体が一体となって子どもの命を守ると約束しています¹²。
福祉分野の処遇改善にも言及し、介護・保育などケア労働者の待遇向上を掲げました¹³。こうした「誰一人取り残さない」姿勢は、市議時代から子どもや高齢者の支援に奔走してきた熊谷氏らしい政策と言えます。
第二に「人を大切にする政治」。全国どこでも質の高い教育を受けられるよう公教育の充実を図り、多様性を地域の力に変えて助け合うコミュニティ再生を訴えました¹⁴。「誰一人取り残さない社会」を目指すという言葉から、社会的包摂を重視するリベラルな価値観が滲み出ています¹⁵。
また持続可能な年金・医療保険制度の改革にも触れ、税と社会保障の一体改革をもう一度進める決意を示しました¹⁶。熊谷氏は当選後も財政金融委員会に所属し、この分野の専門性を発揮しています。
第三に「国の無駄遣いをやめさせる政治」。熊谷氏は参議院の強みを活かし、決算重視の姿勢で行政監視を強化すると約束しました。政府予算にPDCAサイクルを確立し、使途不明金など無駄を徹底排除することや¹⁷、「決算重視の参議院」として予算執行のチェック機能を高めることを掲げています¹⁸。
また政府会計のDX化による透明化推進も提案し、IT技術を駆使して財政の見える化を進める考えを示しました¹⁹。政治の無駄を嫌う有権者の声に応える公約であり、実際に熊谷氏は参院議運委理事として行政監視に携わりました。
第四に「働くことを軸とする安心社会」。ここでは労働政策の充実が語られます。熊谷氏は「労働基本法」の制定を提唱し、雇用の原則を「期限の定めのない直接雇用」と法律で定めることで不安定雇用を是正するとしました²⁰。
さらに真の働き方改革で多様な働き方やディーセントワークを実現し、「同一価値労働・同一賃金」を確立して正規・非正規の不合理な格差を無くすとしています²¹。これらは連合埼玉など労組の推薦を受けた熊谷氏ならではの公約で、働く人の待遇改善に強い意欲を示しました。