打越さく良(うちこし さくら)議員は立憲民主党所属の参議院議員(新潟県選挙区、1期)で、弁護士出身の政治家です。1968年1月北海道旭川市生まれで東大大学院在学中に司法の道へ進み、2000年に弁護士登録しました¹。
弁護士時代には医学部入試での女性差別是正や夫婦別姓訴訟に携わり、第一次夫婦別姓訴訟の弁護団事務局長も務めるなど、ジェンダー平等や人権擁護に尽力してきました。
2019年夏の第25回参院選では野党統一候補として無所属で新潟県選挙区から出馬し、自民党現職の塚田一郎氏(3選目指す)を破って初当選します。新潟県の参院議席で自民党候補が敗れるのは結党以来初めてのことでした²。
当選後は立憲民主党会派に合流し、現在まで在職しています。党内では早くも法務分野のエキスパートとして期待され、「次の内閣」でネクスト法務大臣に就任し、ジェンダー平等推進本部副事務局長や選択的夫婦別姓実現本部長代行、拉致問題対策本部副本部長、旧統一教会被害対策本部副本部長など要職を歴任しています。
国会では法務委員会、北朝鮮拉致問題特別委員会(理事)、憲法審査会委員を務め、法律家の視点を活かして精力的に活動してきました。本レポートでは2015年から2025年6月までのインターネット上で確認できる打越議員の政策・活動を網羅的に分析し、有権者が理解を深められるよう、その足跡を描き出します。
2019年参院選に際し、打越さく良氏は「ともにさく 誰ひとり取り残さない社会へ」というスローガンを掲げ、弱者に寄り添う政治を訴えました。当時発表された選挙公報や政策集からは、暮らしの底上げと多様性の尊重を軸とするビジョンが読み取れます。
具体的には、景気・物価対策として「食料品の消費税ゼロ」を最長2年間の時限措置で実施し、その後は給付付き税額控除(いわゆるキャッシュバック減税)で消費税の逆進性を是正することを提案しました。ガソリン税をリッター当たり25円(軽油17円)引き下げることや、全国一律最低賃金1,500円への引き上げと中小企業支援の強化も掲げており、物価高に苦しむ家計を直接支える大胆な減税・賃上げ策が柱でした。
また「一億円の壁」と呼ばれる富裕層優遇の税制を是正し、公平な税負担で社会保障などベーシックサービスの充実財源とすることも約束しています。
社会政策の面では、「自分らしく働き、生きる社会」をテーマに、非正規雇用や男女の賃金格差をなくし、希望すれば誰もが正社員になれる仕組みづくりを掲げました。打越氏の代名詞ともいえる選択的夫婦別姓や同性婚の実現も公約に明記され、家族のあり方の多様化に道を開く決意が示されています。
さらに「未来をひらく子ども・教育・福祉政策」として、年金制度では低年金に苦しむ氷河期世代や女性への給付底上げを訴えました。児童手当については18歳まで一律月1万5千円(年18万円)を支給する大胆な拡充策を掲げ、教育無償化の推進や奨学金返済免除、介護・保育・医療などエッセンシャルワーカーの賃金引き上げと待遇改善、介護離職ゼロ対策の徹底も盛り込んでいます。
こうした子育て・福祉政策の充実は、少子高齢化に歯止めをかけ将来への安心感を生み出すことを狙ったものです。
地域振興と安全保障にも力点が置かれました。新潟の豊かさの象徴であるコメを守るため生産量を増やし、農業者への直接支払い制度(面積に応じた補償)の創設を提案しています。豪雪・豪雨・地震など災害対策では老朽化した道路・橋梁・学校等インフラの強化を訴え、防災先進県・新潟の経験を踏まえた地域防災力の底上げに意欲を見せました。
またエネルギー政策では再生可能エネルギーによる分散型社会を構築し「原発ゼロ社会」を実現すると明言しています。特に柏崎刈羽原発を抱える新潟県の民意に配慮し、「住民合意を得ない原発再稼働は認めない」として実効性ある避難計画や住民投票的プロセスを求めました。