石川大我議員の政治活動総覧(2015–2025)

概要

石川大我(いしかわ たいが、1974年7月3日生まれ)は、立憲民主党所属の参議院議員(比例区、1期)です。東京都豊島区出身で、明治学院大学法学部法律学科を卒業後、早稲田大学大学院政治学研究科公共経営専攻専門職学位課程を修了し、公共経営修士(専門職)を取得しました。

学生時代からLGBTQ当事者の講演活動に携わり、NPO法人代表理事として性的少数者の支援に尽力してきた経歴を持ちます。2011年に社会民主党公認で豊島区議会議員選挙に当選し(通算2期)、当時日本初となるオープンリー・ゲイ(自身の同性愛を公表)の公職政治家として注目されました。

2013年には社民党党首選に名乗りを上げるなど党内若手として活動しましたが、その後2018年に社民党を離党し、立憲民主党に参加します。2019年7月の第25回参議院選挙に立憲民主党公認で比例区から立候補し、73,799票を獲得して初当選しました。

国政への進出により、彼は日本初の公然たるゲイの国会議員となり、多様性推進の象徴的存在となりました。現在まで参議院議員1期目の任期を務め(在職期間2019年7月~現在)、予算委員会や内閣委員会、消費者問題特別委員会の委員等を歴任し、党内では性的指向・性自認(SOGI)に関するプロジェクトチーム事務局長などを務めています。

本レポートでは、2015年から2025年6月までの石川氏の政治活動を俯瞰し、有権者がその歩みと実績を深く理解できるよう包括的に分析します。

1. 選挙公報・マニフェスト分析

石川大我議員の直近の国政選挙(2019年参院選)における選挙公報やマニフェストをひも解くと、「多様性を誇りに」といったキャッチフレーズが前面に掲げられています。実際、公式サイトの政策ページ冒頭でも「多様性を誇りに。自分と違う人を認められる社会は成長・発展できる社会です。」との一文があり、女性、若者、高齢者、LGBT、障がい者、外国人、ひとり親家庭、在日コリアンなど、あらゆる人々を包摂する社会像を描いています。この「誰一人取り残さない」姿勢こそ、石川氏の政策の柱です。

選挙公約では、LGBTQの権利保障と差別解消が最大の特徴でした。例えば「同性カップルが婚姻できるように法律を改正します」と明記し、同性婚の合法化に強い意欲を示しています。また、性的指向や性自認に関する差別を禁止する法整備や、自治体レベルで広がるパートナーシップ制度の国政での後押しにも言及しました。

加えて、石川氏はLGBT以外の多様な家族形態や弱者支援にも目配りしています。選挙公報ではひとり親家庭の支援強化、高齢者や障がい者が暮らしやすい社会づくりなど福祉政策にも触れ、「支え合う社会」の実現を訴えていました。頻出キーワードを分析すると、「多様性」「支援」「人権」「命」「子ども」「家族」などが上位に並んでいたと考えられます。これらからは、石川氏が経済政策よりも社会的公正や人権擁護を重視するリベラルな政治姿勢が読み取れます。

また「原発ゼロ」や「動物愛護」といった環境・社会政策も掲げており、脱原発の推進にも一貫して取り組んでいます。

総じて、石川氏のマニフェストは自身が当事者でもあるLGBTQ問題を軸に据えつつ、社会的弱者全般の包摂と人権擁護を謳う内容でした。その熱意は有権者にも伝わり、2019年の比例選で初当選を果たした背景には、彼の掲げる多様性社会への共感があったといえるでしょう。

2. 法案提出履歴と立法活動

国会議員としての石川大我氏は、積極的な立法提案によって公約実現を試みてきました。とりわけ目玉政策である同性婚の法制化については、議員立法という形で何度もチャレンジしています。初当選後、超党派のLGBT議員連盟メンバーとして同性婚を可能にする「婚姻平等法案」の準備に携わり、野党共同で同趣旨の法案を国会提出してきました。

2025年の通常国会でも、立憲民主党を中心とする野党が「民法の一部を改正する法律案(婚姻平等法案)」を提出し、同性同士の結婚を法制化する内容を盛り込みました。石川氏も提案者の一人として名を連ね、この法案成立に向け陣頭に立っています。

また同時に、性別変更の要件緩和を目的とする「性同一性障害特例法改正案」も提出されており、石川氏はLGBTQ当事者の権利拡大に関わる複数の法案をリードしました。

家族法制における活動

一方、家族法制の分野でも石川氏は重要な役割を果たしています。2024年には、政府与党が提案した離婚後の共同親権導入を柱とする民法改正案の審議で、参議院本会議の代表質問に立ちました。石川氏は法案の拙速な提出プロセスやDV被害者支援団体の声が十分反映されていない点を厳しく指摘し、「検討が不十分で国民の理解を得られていない」と批判しました。

さらに「選択的夫婦別姓」が28年以上も放置されている現状にも言及し、世論の賛成多数(約7割)にもかかわらず政府が法案提出を怠っていると追及しています。この質疑では「同性婚を可能とする法案をなぜ政府は提出しないのか」とも問いただし、選択的夫婦別姓や同性婚といったリベラルな家族政策を一貫して求める姿勢が光りました。