塩村あやか議員の政治活動総覧(2015–2025)

概要

塩村あやか(本名:塩村文夏)は1978年広島県福山市生まれの参議院議員で、被爆二世として育ちました1。共立女子短期大学卒業後、放送作家としてテレビ番組制作に携わり、「シューイチ」などの番組を担当しました2

2013年に東京都議会議員選挙(世田谷区選挙区)で初当選し政界に進出。都議会では女性や若者の視点から積極的に政策提言を行いました。2014年、都議会本会議の一般質問中に結婚や出産支援策を取り上げた際、複数の男性議員から「早く結婚した方がいいんじゃないか」との野次を受けるセクハラ事件が起き、国内外で大きく報道されました。この問題では野次を発した自民党の都議が謝罪し、塩村氏は都議会議長に抗議するなど、女性蔑視と闘う象徴的存在となりました。

2017年の衆議院議員選挙では民進党公認で広島3区から出馬しましたが落選。その後、旧立憲民主党に参加し、2019年7月の第25回参議院議員通常選挙(東京選挙区)に立憲民主党公認で立候補して68万8234票を獲得し初当選しました。現在は参議院の予算委員会、内閣委員会、政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会の各委員、外交・安全保障に関する調査会理事などを務め、会派「立憲民主・社民」に所属しています3。党内では青年局に所属し、若者政策や外交分野で党を支える立場です。

本レポートでは、2015年から2025年までの塩村議員の政治活動を網羅的に分析し、その公約と実績、国会内外での取り組みを明らかにします。

1. 選挙公報・マニフェスト分析

塩村あやか議員は直近の選挙公報において「まっとうな政治」をスローガンに掲げました。2019年参院選(東京)で配布された選挙公報や政策資料では、雇用問題、不妊治療の支援、原発ゼロ、動物愛護などを重点政策として強調しています。彼女の公約は社会の弱い立場の人々に光を当てることが特徴で、スローガン「小さな声を、大きな力に」には一人ひとりの小さな声を政治の力で実現したいという信念が表れています。

具体的な政策の柱としては、大きく八つのテーマが掲げられました4

物価高・エネルギー対策

第一に物価高・エネルギー対策で、エネルギー自立への投資を通じ円安や物価上昇に根本対応する必要性を訴えています。赤字国債に頼る一時的な給付や減税ではなく、再生可能エネルギーや蓄電技術への長期投資によって将来の物価安定を図るべきだと主張しました。

社会保障と高齢者対策

第二に社会保障と高齢者対策では、「高齢おひとり様」を含む全世代型の安心社会を目指し、年金や医療・介護・保育・教育の充実による支え合いを提案しました。現場の声に基づき世代間の分断を乗り越える制度改革が必要であり、持続可能な社会保障制度を次世代に引き継ぐ責任を強調しています。

食料安全保障

第三に食料安全保障として食糧自給率の向上を掲げました5。日本の食料自給率の低さに危機感を示し、農家への直接支援や若手の就農支援に予算措置を講じて自給率アップを実現すると訴えています6。円安下で輸入食料に頼ると物価高騰リスクが避けられないことから、国内農業の支援強化で食料価格の安定と安全保障を両立する政策です5

女性の健康と権利

第四に女性の健康と権利では、「政治の力で痛みはなくせる」を合言葉に不妊治療の保険適用や無痛分娩の普及促進を成果としてアピールし、今後は痛くない乳がん検診の導入に取り組むと約束しました。マンモグラフィー検査の痛みが受診率低下につながっている現状を変えるため、無痛MRIなど新手法の普及で乳がん検診率を上げ命を救いたいとしています。

治安対策

第五に治安対策として、歌舞伎町の悪質ホストクラブ問題や特殊詐欺グループ(トーコー流通、いわゆる「トク流」)の撲滅に言及しました。塩村氏は国会でいち早く悪質ホストによる多重債務被害やAV出演強要などの人身取引的被害を取り上げ、警察庁に対策強化を求めたといいます。その結果、風俗営業法の改正や「AV被害防止・救済法」の成立、さらには警察庁・各道府県警が連携する日本版FBIとも呼ばれる組織編成につながったとし、小さな声が日本の治安政策を動かした成功例として強調しています。

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