田中昌史(たなか まさし)議員は、北海道札幌市出身の理学療法士であり、自由民主党所属の参議院議員(比例区)です¹。1965年生まれで現在59歳の田中氏は、長年にわたりリハビリテーション専門職の教育・団体運営に携わってきました。
清恵会第二医療専門学院で理学療法士の資格を取得後、病院勤務を経て1995年から北海道千歳リハビリテーション学院の講師となり、後に学科長や副学院長を務めました。日本理学療法士連盟では会長(2012年~2018年)を歴任し²、現在は同連盟顧問として理学療法士協会の要職も担うなど業界のリーダーとして活動しました。
2019年7月の第25回参議院選挙に自民党公認で比例区から立候補しましたが惜敗。その後2023年1月、三木亨議員の辞職に伴い比例名簿次点から繰り上げ当選し、同年1月18日付で参議院議員に就任しました³。当選回数は1回で、任期満了となる2025年7月までの短期間に精力的な議会活動を展開しています⁴。
本レポートでは、2015年から2025年6月までのインターネット上で確認できる田中議員の政治活動について、選挙公約の分析から立法・発言実績、党内活動、情報発信に至るまで包括的に検証します。
田中昌史議員は直近の参院選(2019年7月投開票)において、自身の専門性を前面に出した公約を掲げました。当時の選挙公報や公式サイトによれば、彼は「田中まさしのめざすもの」として4本柱のスローガンを示しています。
第一に「豊かさを実感できる日本へ!」
積極的な財政出動と経済成長によって生活向上を図る方針を掲げました。具体的にはコロナ禍後の景気回復や物価高対策のため、財政拡大による賃金アップ・地方活性化策を訴えたものとみられます。
第二に「支える人を大切にする日本へ!」
医療・介護・福祉の現場で奮闘する支援者たちが安心と誇りを持って働ける環境づくりを約束しました。これは自身が理学療法士として現場を知る強みを生かし、介護・リハビリ職の処遇改善や働きやすさの確保を政策の柱に据えたものです。
第三に「誰もが健康な日本へ!」
リハビリテーションと社会保障の強化により高齢者から障がい者まで誰もが健やかに暮らせる社会を目指すとしました。具体策として地域リハビリ拠点の拡充や予防医療の推進、社会保障制度の充実などが考えられます。
第四に「女性が輝く日本へ!」
女性が健康とキャリアを両立できる環境整備を推進すると約束しています。育児や介護と仕事の両立支援、産後ケアの充実、あるいは理学療法士の視点からの女性の健康支援策などが念頭に置かれていました。
以上の公約から浮かび上がるのは、田中議員の政策スタンスが一貫して「社会を支える人々」への目配りに重点を置いていることです。頻出キーワードを見ても、「積極財政」「経済成長」「賃上げ」「リハビリテーション」「社会保障」「介護」「健康」といった語が多く、彼の関心領域が経済政策と社会福祉・医療に集中していることが分かります。
実際、田中氏は日本理学療法士連盟の組織内候補として、リハビリ・介護職の代弁者となることを期待されて政界に送り出された背景があります。公約にも業界の声を反映し、「支える人」をさらに支える政策を数多く盛り込んでいました。