上月良祐(こうづき りょうすけ)議員は自由民主党所属の参議院議員(茨城県選挙区選出、当選2回)です¹。1962年神戸市生まれ、東大法学部卒業後に自治省に入省し、総務省で自治政策や地方財政を担い、内閣官房副長官秘書官などを歴任しました²。
2005年から茨城県庁に移り8年間にわたり総務部長、副知事を務め、2013年の第23回参院選で国政に初当選しました³。以降、農林水産大臣政務官、参院農水委員長、自民党副幹事長、農林部会長など要職を歴任し、2023年12月に経済産業副大臣兼内閣府副大臣に就任し、2025年時点では石破内閣でも同職を継続しています⁴⁵。
本報告では、2015年から2025年までの10年間に焦点を当て、上月議員の政策・立法活動を包括的に分析します。
彼は地方行政の現場(茨城県)から国政に転じた経歴を持ち、「茨城に、この力を!」を掲げて地域発展に情熱を注ぐ政治家です⁶⁷。在職10年あまりの活動を振り返り、公約と実績の整合性、国会での存在感、政策分野ごとの取り組み、情報発信や政治姿勢などを丹念に見ていきます。
本レポートの目的は、有権者が上月議員の歩みとスタンスを深く理解し、適切に評価できるよう事実に基づく全体像を描き出すことにあります。
上月議員は直近の参院選(2019年)の選挙公報や自身の公式サイトで、「茨城の未来、日本の未来のために全力を尽くす」とするスローガンとともに具体的な政策ビジョンを提示しました⁸。その公約の柱は、大きく以下の6分野に整理されます。
「日本経済の『稼ぎ』の創出、地域経済の活性化」を掲げ、インバウンド(訪日観光)拡大や輸出促進、スタートアップ支援、地場産業の活性化などによる「稼ぐ力」の強化をうたいました⁹。賃上げと価格転嫁の実現も明記し、中小企業が適正に価格転嫁できる環境整備を訴えています。
「交通・物流・交流ネットワークの強化、安定的なエネルギー政策」として、高速道路や港湾の整備、物流効率化、観光交流人口の拡大、さらには再生可能エネルギーと原子力を組み合わせた現実的なエネルギーミックスを推進すると約束しました¹⁰。
農政出身者らしく「強い農林水産業の確立」を掲げ、食料安全保障の確立、コメ価格の安定、農産物輸出の促進、「みどりの食料システム戦略」の推進などを公約に盛り込みました¹¹。林業・水産業の振興策も挙げ、農漁業者の所得向上に力点を置いています。
「子育て支援の拡充、人が生き生きと暮らし学び働ける環境づくり」として、児童手当の拡充や経済支援、女性が活躍できる社会環境整備、孤独・孤立対策などを公約しました¹²。また茨城の課題である霞ヶ浦の水質浄化やカーボンニュートラル社会の構築といった環境施策も掲げています¹³。
「社会保障の安心確立〜幸せな高齢社会づくり〜」として、医療・介護報酬の適切な改定や医療提供体制の整備、物価上昇下でも安心できる年金制度、生活困窮者支援の充実、介護現場の処遇改善などを約束しました¹⁴。高齢化社会に向け手厚い福祉政策を訴えています。