伊藤岳議員の政治活動総覧(2015–2025)

概要

伊藤岳(いとう がく、1960年3月6日生まれ)は日本共産党所属の参議院議員(埼玉県選挙区)です¹。2019年の参院選で初当選し、党埼玉県委員長など長年の活動を経て国政に入りました²¹

川口市出身で、学生時代から反戦・反核運動に関わり、党青年組織で活動してきた「筋金入り」の社会運動家です。2015年以降を対象にした本レポートでは、伊藤議員の経歴と政策活動の全貌を俯瞰します。

所属政党は一貫して共産党で、選挙区は埼玉県(定数4)です。2019年7月の参院選で埼玉選挙区では21年ぶりの共産党議席を奪還しました²。それ以前は国政選挙に7回挑戦しながら落選が続きましたが、地道な地域活動と定数増(定数3→4)の追い風もあり8回目の挑戦で議席を得ました²

在職中は参院環境委員や総務委員などを歴任し、2020年から党中央委員も務めています³。本レポートでは2015年から2025年6月までの10年間にフォーカスし、伊藤議員の公約と実績、国会内外での発言・行動、政党内での役割、政治資金の透明性、SNSでの発信状況、公約実現度などを網羅的に分析します。

1. 選挙公報・マニフェスト分析

2019年参院選での伊藤岳氏の選挙公報を見ると、キャッチフレーズは「だれもがまともに暮らせる社会へ」です¹。これは彼の政治姿勢を端的に表すスローガンであり、子どもの貧困や格差拡大に胸を痛めてきた原点から生まれています¹

公報では、憲法を守り活かす平和主義、消費税増税反対と暮らし最優先、原発ゼロ社会の実現、賃金引き上げによる生活底上げ、教育・子育て支援の拡充などが柱となっていました。実際、彼の掲げた公約キーワード上位には「平和」「暮らし」「原発」「消費税」「子育て」などが並びます。

主要公約項目

たとえば「憲法9条改悪阻止」「誰もが安心して暮らせる社会」「原発なくす」「消費税は5%に減税」「教育無償化」等が頻出し、平和と福祉を重視する共産党らしい内容です。公約から読み取れるのは、弱者に寄り添い格差是正を図るリベラルな政治姿勢です。

実際、伊藤氏は「二度と戦争を起こしてはならない」という祖母の言葉を政治の原点に掲げ、反戦平和と被爆者援護運動に熱心でした。また反原発デモを県内30カ所以上で主催するなどエネルギー政策でも一貫して脱原発を訴えてきました

選挙公報では「消費税10%反対」「年金削減ストップ」「最低賃金1500円をめざす」「選択的夫婦別姓の実現」「同性婚を可能に」といった具体策も明示され、有権者に対し暮らしと人権を守る政治への転換を強くアピールしていました。

キーワード頻出上位10語からは、憲法平和主義、暮らし優先の経済政策、原発廃止、社会保障充実といった重点分野が浮かび上がり、まさに"人間の安全保障"を掲げる共産党の理念が反映されています。

2. 法案提出履歴と立法活動

野党議員である伊藤岳氏は議員立法の提出数自体は多くありませんが、その中身は存在感を示すものです。2019年の当選以降、共産党は他党と共同で複数の法案を提出しており、伊藤氏もそれらに名を連ねました。

主要法案提出

例えば2024年、党として「企業・団体献金の全面禁止法案」や「政党助成金廃止法案」を参議院に提出し、腐敗の温床を断つ抜本改革を訴えました。また2023年には野党合同でLGBT差別解消法案を提出するなど、人権課題の立法にも関わっています(いずれも与党の反対で成立には至らず)。

一方、与党提出の法案に対する賛否も明確で、軍事費増額や国民負担増に繋がるものには一貫して反対票を投じました。

改正行政書士法での貢献