鈴木宗男議員の政治活動総覧(2015–2025)

概要

鈴木宗男(すずき・むねお、1948年北海道生まれ)は、日本政界で長年にわたり独特の存在感を放つベテラン議員である。1983年に自由民主党から衆議院議員に初当選して以来、通算8期を務め、防衛政務次官や外務政務次官、北海道・沖縄開発庁長官、内閣官房副長官、自民党総務局長など要職を歴任した¹

2002年にいわゆる「鈴木宗男事件」で逮捕・起訴され、自民党離党と議員辞職に追い込まれたが、刑期と公民権停止期間を経て政治活動を再開。地域政党「新党大地」を結成し北海道を拠点に活動した後、2019年の参議院選挙で日本維新の会から全国比例区で当選し、実に9年ぶりに国政復帰を果たした²

その後は参議院議員として法務委員や沖縄・北方問題特別委員長、懲罰委員長などを務め³、2023年には所属していた維新の会を離党。2025年6月、自民党への復党が認められ、同年7月の参院選比例区に自民公認で立候補する意向を表明した⁴⁵

本レポートでは、2015年から2025年までの鈴木宗男議員の政治活動を振り返り、掲げた公約と実績、国会内外での言動、政策的スタンスを包括的に分析する。

1. 選挙公報・マニフェスト分析

鈴木宗男議員は直近の国政選挙において、独自色の強いスローガン「○○に喝!!」を掲げ、複数の政策分野に大胆なメスを入れる姿勢をアピールした。参議院比例区で当選した2019年当時の選挙公報や政策集をひも解くと、その公約の柱は大きく7つに分類できる。

北方領土問題への取り組み

【1】「北方領土問題に喝!!」では長年取り組んできたロシアとの平和条約締結と北方領土返還交渉への意欲を示し、高齢化が進む元島民の思いを形にすると訴えた

農林水産・インフラ政策

【2】「農林水産・政策に喝!!」では一次産業を食料安全保障や国土保全の基盤と位置づけ、国内生産基盤の強化や担い手支援に「思い切った予算」で挑む決意を示した

【3】「インフラ整備に喝!!」では相次ぐ災害から国民を守るため、防災インフラの整備や老朽化対策に新技術も活用して「強くしなやかな日本」を築くと強調した

司法・社会制度改革

【4】「不条理な社会に喝!!」では、自身の逮捕体験を踏まえ密室での取り調べや長期拘留、証拠改ざんなど刑事司法の闇を正すとし、2010年に立ち上げた袴田巖死刑囚救援議員連盟の活動にも触れながら、冤罪ゼロと再審法改正への執念をにじませた

【5】「社会保障制度に喝!!」では全世代型社会保障の構築を掲げ、税金の使途を可視化して持続可能で安心できる制度を確立すると約束した¹⁰

政治改革

【6】「政治改革に喝!!」では国会議員の文書通信交通滞在費(月100万円)の使途公開と領収書添付義務化を長年の持論として訴え、忖度なく無駄遣いを正す改革を断行すると明言した¹¹

地方創生

【7】「地方創生に喝!!」ではアイヌ文化の尊重や地域医療の充実、ドクターヘリ配備、ドローンによる薬配送など地方ならではの課題解決策を列挙し、児童虐待や不登校に苦しむ子どもたちに安心できる居場所づくりを掲げた¹²