藤巻健史(ふじまき たけし)は1950年生まれの経済評論家出身の政治家で、日本維新の会所属の参議院議員です¹。一橋大学商学部を卒業後、モルガン銀行東京支店長やジョージ・ソロス氏のアドバイザーなど金融の最前線で活躍した経歴を持ちます¹。
2013年の参院選比例代表で初当選し、参議院財政金融委員会などで金融・財政政策に関する議論をリードしました²³。2019年の参院選では落選しましたが、2019年当選の同僚議員の死去に伴い2024年1月に繰り上げ当選で国政復帰し⁴、通算当選回数は2回となりました⁵。
本報告では、2015~2025年の藤巻氏の活動を検証し、その政策スタンスと成果を分析します。この10年間、藤巻氏は野党議員として一貫して金融緩和への警鐘と財政再建、仮想通貨など新分野の政策提言に注力しており、レポートではその全貌を客観的に描き出します。
藤巻健史氏の直近の選挙公約を見ると、「仮想通貨税制の改革」と「財政再建」という二本柱が鮮明です。実際、2019年参院選(比例区)に向けた藤巻氏の政策パンフレットでは「仮想通貨税制を変える!」と大書し、暗号資産の利益課税を現行の総合課税から株式並みの20%申告分離課税へ改め、損失繰越や仮想通貨間の交換の非課税化、少額決済の非課税化を訴えました⁶⁷。
同時に「財政再建を!」とのスローガンの下、30年間低成長に沈む日本経済を蘇らせるため「小さな行政機構&減税」「民間活力の最大化」「規制緩和」「機会平等主義」など大胆な構造改革を掲げています⁸⁹。
「社会主義的経済運営からの脱却」「計画経済から市場経済への回帰」といった表現から、政府主導ではなく民間主導の経済成長で累積赤字を減らすべきだとの信念が読み取れます¹⁰¹¹。
公約文中で特に頻出するキーワードは「経済」「仮想通貨」「課税」「財政」「経済成長」などで、例えば「仮想通貨」は15回以上も登場し、「経済/経済成長」も合わせて十数回記載されています。これは藤巻氏が金融政策や暗号資産といった経済分野に政策の軸足を置き、家計や市場の活性化に強い関心を持っていることを物語っています。
全体として、公約から浮かび上がるのは「国民に夢を持てる経済を取り戻す」というメッセージです。現状の日本は「世界最悪の財政状態」でいずれ破綻しかねないとの危機感を示しつつ、それを打開する手段として減税や仮想通貨の振興など新たな成長の芽に期待を託している点が特徴的です。
藤巻氏は「仮想通貨には夢がある」と繰り返し述べており、停滞する日本経済の中で若者が一発逆転を夢見られる分野として暗号資産やブロックチェーン産業の可能性を強調しています¹²¹³。公約のキーワード上位からも、財政金融の専門家らしい市場志向の改革姿勢と、"夢を見ることを諦めない経済"を実現したいという熱意が感じられます。
参議院議員としての藤巻氏は、一議員立法による政策提案にも積極的でした。2017年11月には財政健全化に関連する法案を一挙に提出しています。例えば「国会議員の歳費等削減法案」は、議員歳費(給料)や手当の削減を目的としたもので、藤巻氏自らが発議者となり第195回国会に提出されました¹⁴¹⁵。
同時に「国家公務員人件費総額削減推進法案」¹⁶や「国の財政運営における不要資産の活用・透明性向上法案」¹⁷も提出し、膨張する公務員人件費や国有資産売却益の活用など財政再建策を具体的な法案として示しました。
さらに、租税特別措置法の改正案も提出し、一部の減税措置の見直しによる財源確保を提起しています¹⁸。