中田宏(なかだ ひろし、1964年9月20日生まれ)は、富山県生まれ横浜育ちの政治家で、現在は自由民主党所属の参議院議員(比例代表、1期)です¹。
青山学院大学経済学部を卒業後、松下政経塾で学び、1993年に細川護熙氏の日本新党から衆議院議員に初当選しました¹。以後、新進党や無所属の会など保守系の新党を渡り歩きながら衆議院議員を通算4期務めました。
2002年には当時政令市最年少の市長として横浜市長に就任し、2期務めています²。市長時代は大胆な行政改革で知られ、財政再建やごみ分別の徹底などに取り組み、市の借金を約1兆円減らした実績も評価されました。
ところが2期目途中の2009年、政権交代の直前に辞職を表明し、そのタイミングについて「衆院選と同日ならオール与党の相乗り選挙を避けられる」と説明したものの、「任期途中の投げ出しだ」との批判も浴びました³。
辞職前後には週刊誌で私生活スキャンダルも報じられましたが、これについては中田氏が名誉毀損で訴え、2011年に勝訴判決を得ています⁴。
市長退任後は民間での活動や執筆を経て、2012年の衆院選で日本維新の会から国政に復帰しました⁵。しかし維新分党後の2014年衆院選では次世代の党公認で落選し、一時議席を失います。
その後、自民党への合流を決断し、2019年参院選に比例代表で立候補しましたが次点で惜敗⁶。2022年4月、同党比例名簿で繰上当選により参議院議員に就任し⁶、国政に復帰します。
2024年11月からは環境副大臣兼内閣府副大臣に就任し⁷、政府の一員として政策遂行にもあたっています。
本レポートでは、2015年から2025年までの10年間に焦点を当て、中田氏の政策理念と国会・政府内での活動実績を多面的に検証します。有権者が中田議員の歩みを深く理解し評価できるよう、公約と現実のギャップや発信力にも着目しました。
2019年および2022年の参院選に向けて中田氏が掲げたマニフェストには、自治体首長と国会議員の経験を持つ"改革派"らしいスローガンが並びました。
経済再生と国家の立て直しが大きな柱であり、具体的にはデジタル技術と環境エネルギーを梃子とする成長戦略、安全保障の強化、そして自身の得意分野である行政改革などが強調されています。
例えばマニフェストでは「DXとGXで生産性を向上させ国際競争力を高める。『脱炭素』は確実に経済成長をもたらします。」と記され、デジタル改革(DX)とグリーン改革(GX)による産業競争力向上を訴えています⁸。
脱炭素を制約ではなく成長のチャンスと捉える前向きな姿勢で、「環境経済」による技術革新とものづくり強化を目指すビジョンです。
また「安全保障上重要な土地を外国勢力が買えないようにする」という政策も掲げられ⁹、自衛隊基地周辺など国の安全保障に関わる土地の外国資本への売買規制を明記しました。
このほか、公約集には詳細な言及はないものの、中田氏は一貫して財政健全化や行政効率化を訴えており、横浜市長時代の実績を引き合いに「身を切る改革」で無駄を省く決意を示しました。