比嘉奈津美(ひが なつみ)議員は沖縄県沖縄市出身の歯科医師であり、自由民主党所属の国会議員です。1958年10月3日生まれの彼女は福岡歯科大学を卒業後、地元で「なつみ歯科医院」を開業し地域医療に貢献してきました。
2012年の第46回衆議院選挙で沖縄3区から初当選し、2014年の第47回衆院選でも再選、衆議院議員を通算2期務めました。在任中の2016年には第3次安倍第2次改造内閣で環境大臣政務官に就任し、政府の一員として環境行政に携わりました。
しかし2017年の衆院解散総選挙では議席を失い、一時国政を離れます。その後、歯科医師会など業界の厚い支持を背景に2019年の参院選比例代表に立候補し、次点となりましたが、2021年10月に同党の北村経夫氏の参院山口選挙区補欠選挙への立候補による退職を受けて繰上当選で参議院議員に復帰しました[1]。
翌2022年7月の第26回参院選比例区では正式に当選し、現在1期目の参議院議員(比例代表)として活動しています。党内では茂木派に所属し、参議院では厚生労働委員長や参院国会対策副委員長といった要職を歴任するなど、与党内で存在感を高めています。
本レポートでは、2015年から2025年までの10年間にわたる比嘉議員の政治活動を網羅的に分析し、有権者が同氏の歩みとスタンスを立体的に理解できるようまとめます。
比嘉奈津美議員の直近の公約を見ると、彼女は自身の専門分野である歯科医療を軸に据えた政策を前面に掲げています。2022年参院選時の選挙公報や公式サイトには「歯科界みんなの笑顔のために!」というスローガンが大きく掲げられ、歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士といった「デンタルファミリー」の立場から日本の医療課題に取り組む決意が示されました。
公約では特に7項目の重点施策が語られており、その内容は歯科医療の充実に集中しています。例えば「国民皆保険制度を守ります」と謳い、誰もがいつでも必要な歯科診療を受けられる体制を維持・強化する方針を明言しました。
また「歯科医療への適正評価を得られるようにします」として、精密な歯科治療が正当に報われるよう保険報酬の矛盾是正に取り組む決意を示しています。さらに「生涯を通じた歯科健診の実現」を掲げ、全身の健康維持のために切れ目ない歯科検診制度を構築することを約束しました。
こうした歯科医師向けの公約に続き、「歯科衛生士が安心して働ける環境整備」や「歯科技工士の地位向上」など、歯科医療従事者それぞれに対する支援策も具体的に挙げています。
公約から浮かび上がるキーワードは「歯科」「医療」「健診」「保険」「評価」「予防」といったものが上位に並び、比嘉氏が歯科医療の現場目線で制度改善に情熱を注いでいる様子がうかがえます。頻出する語彙からも、歯と口腔の健康を国民全体の健康増進の基礎と捉える姿勢が読み取れ、医療政策の中でも歯科・予防医療を重視するスタンスが明確です。
「デンタルファミリーのための政策!」と銘打った公約全体を通じ、彼女は自らの専門性を活かして国政に新風を吹き込みたいという強い意欲を物語っています[2]。
立法面での比嘉議員の動きを見ると、与党議員らしく政府提出法案の審議に尽力する一方、自ら法案を主導して提出した例は多くありません。衆議院議員在任中(2012–2017)は新人・若手という立場もあり、本会議での代表質問や答弁の経験はなく、議員立法の提出者となった記録も公式には確認されていません。これは与党内での役割上、個人法案の提出よりも党提案や政府法案のサポートに回ったことを示しています。