永江孝子(ながえ たかこ、1960年6月15日生まれ)は愛媛県出身の政治家で、元民放アナウンサーという異色の経歴を持ちます¹。
民主党公認で2009年の第45回衆議院議員総選挙に挑戦し、小選挙区では当時内閣官房長官を務めた塩崎恭久氏に僅か約2800票差で敗れたものの比例復活で初当選しました²。衆議院議員1期を務めましたが、民主党政権の退潮に伴い2012年と2014年の総選挙は愛媛1区で落選しています。
2016年には無所属の野党統一候補として参議院愛媛選挙区に挑戦しましたが、現職の自民党候補に約8千票差で惜敗しました。しかし2019年、野党各党の支援を受け再び無所属で参院愛媛選挙区に立候補し、自民党新人候補を大差で破って初当選、7年ぶりに国政復帰を果たしました。
これにより永江氏は愛媛県選出初の女性参議院議員となり、大きな注目を集めました。当選後は同じく無所属当選の嘉田由紀子氏と共に新会派「碧水会」を結成しましたが、同会派は2022年8月31日に解散し、現在は無所属議員として活動を続けています³。
本レポートでは、永江議員の2015年から2025年までの政治活動について、公約と実績、国会内外での取り組みを詳細に分析します。
永江孝子議員は直近の2019年参院選において、無所属候補ながら充実した公約を掲げました。その選挙公報や政策集からは、生活者目線のスローガンと具体策が読み取れます。
キャッチフレーズは「すべての出会いをチカラに!」で、18年間のアナウンサー経験で培った地域密着の姿勢をアピールしています⁴。公約の柱は大きく5つに整理されており、以下にその概要を紹介します。
消費税の軽減と社会保障の充実が中心です。具体的には「食料品への消費税0%」を掲げ、生活必需品の負担軽減を提案しました。また年金について「物価高でも暮らせる年金」への立て直しを唱え、高齢者の暮らしを守る決意を示しています。
地域医療の再建や介護・保育従事者の待遇改善、「全国一律の最低賃金引き上げ」も掲げ、中小企業が賃上げできるよう給付付き減税制度の創設を約束しました。物価高騰や災害時の対策として、ペット同伴避難の環境整備など生活に密着した提案も特徴です。
少子化対策と教育支援が前面に出ています。休日保育や病児保育の充実、育児と仕事の両立支援、そして「幼児から大学まで教育無償化」の大胆な目標を掲げました。
自身が衆議院議員時代に返済不要の奨学金創設に注力した経緯もあり⁵、「返さなくてよい奨学金制度の拡充」を明記しています。さらに「子どもの貧困」をなくすことを宣言し、子育て世代や若者への投資を未来への贈り物と位置付けました。
地方経済とインフラに関する政策です。地元愛媛の発展のため、「中小企業の賃上げを支える給付付き減税制度」の創設や、農林漁業者への所得補償による応援など地方産業支援を公約しました。
特に愛媛県に関係深い政策として、しまなみ海道の橋梁通行料金値下げ(物流コスト低減)や、養殖業を地球温暖化対策の一環として推進することも掲げています。老朽化したインフラの防災強化、地域交通を支えるコミュニティバス拡充、空き家活用促進など、地方の暮らしを守り活性化する施策が並びました。