舞立昇治議員の政治活動総覧(2015–2025)

概要

舞立昇治(まいたち しょうじ)議員は、1975年鳥取県生まれの参議院議員で、自民党所属です。2013年の第23回参院選で鳥取県選挙区から初当選し、2019年には合区となった鳥取・島根選挙区で再選を果たしました¹

自治省(現総務省)の官僚出身で地方行政の経験が長く、国政転身後も地方創生や農林水産政策に力を注いできました。党内では石破茂氏の派閥(石破グループ)に属し、2018年以降の自民党総裁選では一貫して石破氏を支持する推薦人に名を連ねました²

参議院では農林水産委員会や災害対策特別委員会など地方や一次産業に関わる委員会に所属し、2024年11月には参院農林水産委員長に就任しました³。党内では水産部会長など要職を歴任し、地方や農業漁業の現場の声を政策に反映する役割を果たしてきました。

分析対象期間は2015年から2025年までの10年余であり、本レポートではこの期間の議員活動全体を俯瞰し、有権者が舞立議員の足跡とスタンスを理解できるようまとめます。

1. 選挙公報・マニフェスト分析

舞立議員は直近の選挙(2019年参院選)で、「着実に前へ!明るい未来を切り拓こう!」をスローガンに掲げ、地方経済の活性化と国土の均衡ある発展を前面に訴えたとみられます。選挙公報に相当する政策集では、以下のような柱立てで具体策を示しています。

経済再生と財政運営

第一の柱は経済再生と財政運営です。バブル崩壊後の政策の教訓を踏まえ、「金融・経済・財政政策を一体的に実施」して持続的成長を図ると強調しました。特に大都市圏では金融政策による市場安定を重視し、地方では財政出動を軸に景気対策を講じるという地域ごとのきめ細かな経済運営を訴えました

公共投資による国土強靱化

第二の柱は公共投資による国土強靱化で、先進国が不況時でも公共事業を一定水準確保している例を引き、日本でもリニアや道路網整備、老朽インフラ対策に最低限必要な公共事業費を安定確保すべきだと主張しました。特に地方の雇用と経済を下支えする公共事業の役割を重視し、「現在の公共事業費の水準は維持し、可能な限り増額」と明記しています

農林水産業の振興と食料安全保障

第三の柱は農林水産業の振興と食料安全保障です。舞立氏は「国と地方の再生に農林水産業の活性化は不可欠」と位置づけ、国内農家への手厚い支援で食料自給と輸出拡大を図り、担い手の所得向上と地域コミュニティ維持につなげると訴えました。また「食糧安全保障」を重要国益と位置づけ、海外情勢にも左右されない安定供給体制を築く決意を示しました

少子高齢化対策

第四の柱は少子高齢化対策で、2025年に団塊世代が75歳以上となり日本の高齢化率が30%を超える見通しを踏まえ、「将来への安心感が持てる社会環境整備」が急務だと警鐘を鳴らしました。若い世代が安心して子育てできるよう育児休業の充実や幼児教育無償化などフランスを参考に少子化対策を強化し、一方で高齢者には年金・医療・介護の充実で安心を提供すると約束しました

地方分権と自治体行政の充実

第五の柱として地方分権と自治体行政の充実を掲げ、「地方固有の事務に国が一律の基準を押し付けるのでなく各地域の裁量で効率的に執行できるようにする」べきだとして、地方分権改革や地方財政の充実にも取り組む考えを示しました

以上のように、舞立議員のマニフェストは「地方重視」が一貫したテーマとなっています。実際、選挙公約テキストで頻出するキーワードは「地方」「地域」「経済」「公共事業」「農林水産」「食糧」「少子化」「高齢化」などであり、中央集権的な発想よりも地域の現場に根差した政策志向が浮かび上がります。

例えば「地方」は最上位の頻出語で、財政力の弱い過疎地域でも行政サービスを維持する必要性を繰り返し説いています。また「公共事業」「経済」が頻出する点から、インフラ投資を梃子に地域経済を底上げしようという意図が読み取れます。