寺田静議員の政治活動総覧(2015–2025)

概要

寺田静(てらた・しずか)議員は1975年生まれ、秋田県横手市出身の政治家で、参議院議員(秋田県選挙区、当選1回)です¹²

夫は寺田学衆議院議員で、義父は寺田典城・元秋田県知事(元参議院議員)という政治一家に連なります³

早稲田大学人間科学部を卒業後、民間研究所勤務や国会議員秘書などを経て、2019年の第25回参院選に野党統一候補(無所属)として秋田から立候補しました。地元の重要課題であったイージス・アショア配備反対を前面に掲げて、自民党現職を破り初当選しました⁴⁵

当選後は会派に属さない無所属議員として活動し、環境委員会や農林水産委員会に所属して地方や社会課題の代弁者となってきました

本レポートでは、2015年から2025年6月までの活動を振り返り、寺田議員の政策・立法活動の全体像をまとめます。この期間は彼女が国政進出を決意し準備を進めた時期から、初当選後の6年間にわたる議員活動、そして2025年夏の参院選に向けた動きを含んでいます

有権者が寺田議員の歩みと実績を深く理解し評価できるよう、客観的な事実に基づき網羅的に記録しました。

1. 選挙公報・マニフェスト分析

基本理念と公約の背景

2019年夏の参議院選挙で寺田静氏が掲げた公約は、「誰もが安心して暮らせる社会を秋田から実現する」という思いに貫かれていました

選挙公報や政策集からは、子育て中の母親としての視点や、地方で暮らす生活者の目線が色濃く反映されています。スローガンとして彼女は「孤絶する1人、苦しむ1家族のために、99人が配慮する社会をつくりたい」と訴え、弱い立場の人に寄り添う政治を前面に出しました。

また当時秋田で大きな論点だった陸上イージス・アショア配備計画には明確に反対を示し、地元住民の不安に応える姿勢を示しました。結果、保守地盤の秋田でありながら無党派層の支持を広げ、50.46%の得票で当選を果たしています¹⁰¹¹

具体的政策内容

公約の内容を詳しく見ると、政策の柱は幅広い世代と分野に及んでいました。

物価高対策・消費税では、ガソリン税の二重課税廃止や生活必需品の消費税減税を掲げ、可処分所得を増やすことで家計を支援すると約束しました¹²

年金・介護・医療では、持続可能な年金制度への改革や介護・医療従事者の待遇改善による安心の確保をうたい¹³地域経済では中小企業の事業承継支援や社会保険料負担の軽減など地域企業の活性化策を提示しました¹⁴

農林水産業については「国の基」と位置づけ、担い手確保と所得保障によって農山漁村を守るとし¹⁵子育てでは経済的・人的サポートの大幅増強と教育無償化で「社会全体で子どもを支える」姿勢を明確にしました¹⁶

さらに自身の経験に根差した不登校児支援や多様な教育機会の保障¹⁷、障がい者福祉の充実¹⁸、社会的養護(里親支援など)の強化¹⁹、防災・インフラ老朽化対策²⁰、気候変動対策や再生可能エネルギー推進²¹、そしてジェンダー平等・人権の確立(賃金格差是正や育児・介護の男女共同参画)²²まで、多岐にわたる政策項目を網羅していました。

憲法に関しては改正には慎重で、「9条を変える必要はない」と公約し²³、リベラルな安全保障観も示していました。