芳賀道也(はが みちや)議員は、元テレビ局アナウンサーという異色の経歴を持つ参議院議員(山形県選挙区、1期)です。1958年生まれの芳賀氏は山形放送で長年キャスターとして活躍し、「ズームイン!!朝!」山形県中継などで県民に親しまれました¹。
2019年7月の第25回参議院議員通常選挙で野党統一候補として初当選し、以後在職6年間(2019年7月21日当選〜)山形県選出の国会議員として活動しています。当選時は無所属(立憲民主党・国民民主党など野党各党の推薦)で臨み、山形県知事や連合山形など幅広い支援を受けて自民現職を破り勝利しました。現在は国民民主党・新緑風会会派に属し、参議院総務委員会、行政監視委員会などに所属しています²。
山形放送アナウンサー出身というバックグラウンドから、"はがちゃん"の愛称でも知られる芳賀氏は、柔らかな語り口と的確な質問力で国政に挑んできました。スローガンは山形の方言で「今の政治なんとがさんなね!」(「このままではいけない」の意)。その言葉通り、「デタラメな政治を終わらせ、地方を大切にする政治へ」と訴え、有権者の草の根の声を国政に届けることを信条としています。
2015年から2025年までの活動を振り返ると、山形県の地域課題から国の政治倫理まで幅広いテーマに取り組み、野党議員として地道に政策提言と問題提起を重ねてきたことが浮かび上がります。本レポートでは、その公約と実績、国会内外での活動全般について詳しく検証します。
芳賀道也議員が掲げた公約の特徴は、「人に優しい政治にズームイン」というキャッチフレーズに象徴される生活重視の政策群でした。直近の選挙公報(2019年参院選)では、子育てや教育、年金など将来世代への投資を軸に据え、「将来の夢をあきらめさせない」社会を目指すビジョンを鮮明にしています³。
具体的には「教育の完全無償化」や低所得家庭への保育支援、給付型奨学金の拡充を掲げ、地域や家庭環境による教育格差の是正に力を入れる方針でした⁴。また年金制度への不安に応えるため、「誰もが年金収入で暮らせるよう」金融所得課税や法人課税の見直しによる財源確保を訴えています⁵。
地域経済を支える農林水産業の振興も大きな柱です。芳賀氏は「未来に続く農林漁業をサポート」と題して、小規模農家への戸別所得補償復活やUターン就農支援を提案しました。森林資源の活用や水産資源管理による漁業経営安定策など、地方ならではの産業基盤強化策を細やかに盛り込んでいます。地元・山形の魅力発信による観光振興策やインフラ整備(高速道路や新幹線の充実)にも言及し、「来たい、住みたい山形を創る」という地域活性化ビジョンを示しました。空き家対策や再生可能エネルギー推進など地域課題への目配りも効いています。
一方、働く環境の改善にも重点を置き、「安心とゆとりある働き」の実現として最低賃金引き上げや非正規雇用の正社員化促進、過労死ゼロ対策などを掲げました。医療・介護従事者や教員の待遇改善策も盛り込み、労働現場の声を反映しています。さらに「守るべきを守る」として、防災・減災対策や中小企業支援、そして平和主義の堅持を約束しました。憲法9条の精神を守りつつ、自立した外交安全保障を目指す立場で、日米地位協定の見直しや水道など公共インフラの公的管理重視も訴えています。
こうした公約のキーワードを頻度で見ると、「子ども」「教育」「年金」「地域」「農業」「働き方」といった言葉が上位に並びます。実際、公約文中で子ども・教育関連の語が繰り返し強調され⁴、次いで農林水産や地域の語が頻出する傾向がありました。これは芳賀氏の政治姿勢が、都市部より地方・現場の暮らしを優先し、家計目線の政策を重視していることを物語っています。また「最低賃金」「社会保障」といった語からは、生活者や労働者の立場に立った改革志向が読み取れます。
全体として、華美なスローガンより具体的な施策の列挙に力点が置かれており、アナウンサー出身らしい分かりやすい言葉で地域有権者に語りかけるスタイルがうかがえます。