広田一議員の政治活動総覧(2015–2025)

概要

広田一(ひろた はじめ)議員は、高知県土佐清水市出身の参議院議員です¹。早稲田大学卒業後、民間企業勤務を経て高知県議会議員となり(2期)、2004年に無所属で参議院議員(高知県選挙区)に初当選しました²

以後2010年に民主党公認で再選し、防衛大臣政務官や参議院国土交通委員長など要職を歴任しました¹。2016年には当時の選挙制度に反発して参院選不出馬を表明し、2017年の衆議院選挙では無所属野党統一候補として高知2区から立候補し、元農水相の山本有二氏を大差で破って衆議院議員に転身しました。

衆院では会派「無所属の会」に所属し、立憲民主党国会対策委員長代理などを務めました。しかし2021年衆院選で前高知県知事の尾﨑正直氏(自民党公認)に敗れて落選し、一時政界を離れます。2023年10月、徳島・高知合区の参議院補欠選挙で無所属新人として再起を果たし、3度目の参議院議員となりました³

現在は会派「立憲民主・社民・無所属」に所属し、外交防衛委員会や災害対策特別委員会の委員として活動しています。本レポートでは、2015年から2025年までの広田議員の政治活動を振り返り、公約・政策の特徴と実績、国会内外での取り組みを総合的に分析します。

1. 選挙公報・マニフェスト分析

基本理念と政策の柱

広田議員は直近の選挙において「徳島高知から政治への信頼を取り戻す」というスローガンを掲げ、地域重視と政治改革を前面に出したマニフェストを発表しました。2023年の参院補選公報では、まず「くらしをまもる」として経済政策を強調しています。

具体的には「分配なくして経済成長なし」との信念のもと、中間層の厚みを増すことや一時的な消費税5%への減税を提案し、格差是正による消費活性化を目指しました。次いで「若者の未来を創る」として教育費負担の軽減策(国公立大学授業料半額や私立向け給付型奨学金拡充)や子育て支援充実(児童手当拡充、学校給食無償化)を掲げ、人口減少への挑戦を宣言しました。

社会保障と地方創生政策

さらに「誰もが安心に暮らせる医療・介護・福祉」を謳い、妊産婦医療の充実や介護従事者の待遇改善による地域定住の促進など、社会保障の強化策も盛り込まれました。地域政策では「地方があるから国がある」という信念のもと、地方交付税の大幅増額や「令和の廃藩置県」による徹底的な地方分権改革など思い切った施策を提案し、東京一極集中の是正を訴えています。

産業振興策としては農林水産業の活性化(食料自給率向上、耕作放棄地ゼロ、林業機械化、新規就農・就漁支援)や観光振興を掲げ、防災では南海トラフ巨大地震対策など地域の防災力強化に重点を置きました。

外交・安全保障政策

外交・安全保障分野では「現実的で責任ある外交安保」として日米同盟の深化や尖閣諸島防衛に言及するとともに、自身が中心となり準備したという「領域警備・海上保安体制強化法」の成立を目標に掲げています。また憲法9条下での集団的自衛権行使に反対し、安全保障関連法の一部撤廃を主張するなど、リベラル色の強い安全保障観を示しました。

社会課題と政治改革

社会課題では「多様な価値観をまもる」として選択的夫婦別姓制度の実現やあらゆる差別の解消、信教の自由擁護を訴え、「政治改革の実現」として一強体制打破と議員特権の見直し、参院合区解消など政治制度改革にも踏み込みました。

公約の特徴と背景

広田議員のマニフェストで頻出したキーワードには、「地方」「地域」「支援」「推進」「実現」などが挙げられます(選挙公報全文分析より)。これら上位語から、地方創生と地域活性化への強い意欲、社会的弱者への支援重視、新しい政策を実現・推進しようとする前向きな姿勢が浮かび上がります。

また「子ども」「安心」「福祉」といった言葉も目立ち、子育て・教育や福祉の充実によって国民が安心して暮らせる社会を目指す方向性が示されています。総じて広田議員の公約は、地方と生活者目線に立脚しつつ、社会的公正と多様性尊重を理念に据えた政策群で構成されていました。