有村治子(ありむら はるこ)は自由民主党所属の参議院議員で、比例代表全国区から通算4期当選しています。2001年に初当選して以来議席を守り続けています。石川県生まれ滋賀県育ちで、国際基督教大学(ICU)卒業後に米国SIT大学院で修士号を取得し、民間企業(日本マクドナルド人事本部)勤務を経て政界に転じました。
安倍内閣では2014年、第1次女性活躍担当大臣および規制改革・少子化対策・男女共同参画などを担う国務大臣に抜擢され、以降も参議院環境委員長、自民党広報本部長、参議院自民党政策審議会長など要職を歴任。現在は参議院情報監視審査会長(機密情報の適正管理を監督する委員会)や自民党両院議員総会長などを務めており、保守派の論客として存在感を放つベテラン政治家です。
本レポートでは、2015年から2025年6月までの10年余りの活動を俯瞰し、有村議員の政策的特徴と実績を有権者目線で分析します。
2019年参院選(令和元年7月)で掲げたスローガンは、「命の重み・家族や地域の絆・日本の尊厳を守ります」という力強いものでした。
この言葉通り、有村氏の公約の柱は以下の3点に集約されます:
具体的には、妊婦への配慮を示す「マタニティマーク」の全国普及を主導し安心して子育てできる社会を作ること、人口減少・高齢化に対応して誰もが健やかに暮らせる持続可能な社会システムを構築すること、そして天皇陛下を戴く我が国の伝統と独立主権を守るため自主憲法制定(憲法改正)に取り組む決意などが掲げられました。
格調高い表現の中にも「守ります」という言葉が繰り返されており、公約全体に"守りの政治"への強い意志が滲み出ています。これは、「命を守り安全・安心を創る」「家族や地域の絆を守る」「日本の尊厳を守る」という三つのスローガンに象徴されるように、有村氏の保守政治家としての信条を端的に表すものです。
公報から読み取れる重点分野は、まず第一に少子化対策と子育て支援です。本人も二児の母であり、「子ども達の安全と子育て世代の安心」を具体化する政策を重視すると明言しています。幼児教育・保育の充実策や地域ぐるみで子育てを支える仕組みづくりなど、家族政策への熱意が伝わります。
また初代「女性活躍担当相」として女性の社会参画を推進した経歴がありますが、一方で伝統的家族観も重んじており、選択的夫婦別姓制度の導入には一貫して反対姿勢を示しています(2010年には「夫婦別姓に反対し家族の絆を守る国民大会」に出席)。この点からも、有村氏の基本スタンスは女性の地位向上と少子化対策を図りつつ、日本の家族制度や価値観の根幹は守るという保守系ならではのバランス感覚にあることがわかります。
次に強調されているのが安全保障と危機管理です。公約には直接現れない言葉ながら、「平和と独立主権を守り抜く憲法を作り上げる」という決意表明は、安全保障環境の厳しさを踏まえ自衛力や同盟関係を強化する意思を背景にしています。有村氏は「世界に広く目を見開き、誇りある日本人を育む」教育の重要性も訴えており、領土や歴史認識の問題にも関心が深いことがうかがえます。