浜田聡(はまだ さとし)は、1977年京都市生まれの参議院議員で、もともと放射線科の専門医という異色の経歴を持つ政治家である1。
東京大学教育学部を卒業後に京都大学医学部医学科へと再入学し医師免許を取得するという珍しい学歴の持ち主で、岡山県の病院で放射線科医として勤務しつつ不動産賃貸業も営んでいた2。
2016年、NHK受信料問題を訴える立花孝志氏の都知事選政見放送に衝撃を受け政治に関心を強め、2019年の統一地方選挙から立花氏率いる「NHKから国民を守る党」(現・NHK党)で選挙に挑戦した1。
同年7月の参院選比例区では惜しくも次点で落選したが、その直後に立花氏が参院議員を自動失職したため比例名簿から繰り上げ当選となり、2019年10月に参議院議員に就任した3。
初当選以来一貫してNHK党(党名は度重なる改称を経て政治家女子48党・みんなでつくる党等を含む)に所属し、党の政策調査会長や幹事長など要職も務めた4。
しかし党運営を巡る内紛も経験し、2023年末には党を離れて新たな政治団体を立ち上げる意向を表明するなど、少数政党の中で独自の政治活動を展開している5。
本レポートでは、2015年から2025年6月までの浜田氏の政治活動を網羅的に分析し、有権者がその歩みと実績を立体的に理解できるようまとめる。
浜田聡議員が直近に参加した2022年7月の参議院議員通常選挙において、NHK党は党公約として独自色の強い政策を掲げた67。
スローガンの柱は「NHKのスクランブル化実現」であり、NHK受信料を支払った人だけが番組を視聴できるよう放送を暗号化する制度の導入と、年金受給者の受信料全額免除が目玉として打ち出された7。
加えて「減税と社会保険料の引き下げ」も大きな争点で、消費税減税や社会保険料の軽減によって物価高や生活負担に対応する姿勢を強調した8。
NHK党公約は他にも憲法改正の推進や防衛力強化といった保守色の強い政策を含んでおり、具体的には憲法改正の国民投票実施に向けた国会発議の促進、通年国会制度の提案、中国・ロシア・北朝鮮に対抗するため防衛費をGDP比2%に増やし敵基地攻撃能力の保有や核シェアリングの議論開始、といった内容が盛り込まれた69。
エネルギー政策では原発再稼働を安全確認の上で進め、日本製の高効率石炭火力発電所を海外輸出して温室効果ガス削減に寄与すると謳い10、コロナ禍対策として感染症危機管理の司令塔組織新設やインバウンド観光振興、屋外でのマスク着用緩和なども掲げた8。
また若者の政治参加を促すため被選挙権年齢の引き下げにも言及し、従来の既成政党にはない柔軟な発想を打ち出している7。