古川俊治議員の政治活動総覧(2015–2025) 概要

古川俊治(ふるかわ としはる)議員は、自民党所属の参議院議員(埼玉県選挙区)で当選3回を数えます¹

1963年生まれの古川氏は慶應義塾大学で医学部・文学部・法学部を修了した異色の経歴の持ち主で、外科医として臨床経験を積む一方で司法試験にも合格し弁護士資格を取得しています²³

2007年の初当選以降、慶應義塾大学の教授職を務めながら国政に携わり、医師・弁護士・研究者という"三刀流"の専門性を政策立案に活かしてきました。直近の当選は2019年(令和元年)で、参議院議員の任期6年のため2025年7月までが現在の任期となっています

本稿では、2015年から2025年までの10年間に焦点を当て、古川議員の政治活動の全体像をまとめます。古川氏は党内で要職を歴任し、参議院財政金融委員長や自民党参院政策審議会長などを務めるなど政策通として知られます

本レポートでは、公約の内容とその実現状況、立法活動の詳細、国会発言の傾向、政府の審議会での役割、党内活動、政治資金を巡る問題、情報発信戦略など、多角的な視点から古川俊治議員の足跡を検証します。

1. 選挙公報・マニフェスト分析

古川俊治議員は直近の参院選(2019年7月)において、「日本の明日を切り拓く。」という力強いスローガンを掲げて選挙戦を戦いました

選挙公報やマニフェストからは、彼の政策ビジョンの全体像が読み取れます。専門家としての知見を前面に出し、科学技術と医療を軸に据えた政策を網羅的に提示していた点が特徴的です。

主要公約の柱

古川氏のマニフェストは大きく6つの柱で構成されていました⁸⁹

第1に「新産業創出による経済再興」です。人工知能(AI)、ドローン、ロボット、再生医療など先端技術の研究開発を促進し、新産業と雇用を創出するというものです¹⁰。地域産業についても、大学等の研究成果と地元企業の技術を結びつけ、新事業や特産品の海外販路開拓を図るなど、産学官連携で地方経済を活性化させる方針を示しました¹⁰

第2に「健康で豊かな生活の実現」として、社会保障財源の安定確保による全世代型社会保障の維持を掲げました¹¹。高齢社会に対応する医療・介護体制の整備、AIやICTの活用による地域医療の充実、予防医療の強化や高齢者雇用推進、さらには働く女性への子育て支援拡充など、医師である経験を活かした具体策が並びます¹²。尊厳ある看取りを保障するための法律整備にも言及し、人生の最終段階医療に法的枠組みを持ち込む考えも示しました¹³

第3の柱は「財政再建」です。国民負担を最小限に抑えつつ無理のない財政健全化を実現するため、徹底した行政改革と経済成長によって無駄を排除し、2040年を見据えた長期財政計画を策定すると約束しました¹⁴。エコノミスト顔負けの緻密さで、高齢者人口がピークを迎える2040年頃までの長期視点で財政構造を立て直す必要性を強調しています。

第4は「世界で活躍できる日本人の育成」で、基礎学力の定着と理数教育・語学教育の強化、大学の国際化推進など教育改革への意欲を示しました¹⁵

第5は「国益の保持と防災の強化」です。テロや北朝鮮の核開発など安全保障上の脅威には国際協調しつつ断固たる対応を取ること、日米同盟を基軸にアジア太平洋諸国との連携を深めることを謳い、防衛・外交面での積極姿勢を明らかにしました¹⁶。また首都直下地震や豪雨災害への備えとして、防災・減災対策を推進する方針も掲げています¹⁷

第6の柱は「農畜水産業の振興」で、安全で高品質な日本の農水産物の輸出促進や、食育の推進、農商工連携による新産業創出、さらに農業分野へのAI活用(精密な栽培管理や効率化)など、農業改革にも先端技術の視点を取り入れていました¹⁸

全体として、科学技術イノベーションと社会保障・教育・財政の安定といったテーマをバランスよく網羅し、古川氏の幅広い政策関心と専門性が反映された内容になっています。

頻出キーワードと重点分野

マニフェストのテキストを分析すると、「推進」「改革」「技術」「医療」「人材」「地域」などの言葉が上位に多く出現していました(調査結果より)。「推進」という言葉に象徴されるように、古川氏は停滞よりも前進を重視し、具体的施策を前へ進める意志を強調しています。