横沢高徳(よこさわ たかのり)議員は、立憲民主党に所属する参議院議員で、現在岩手県選挙区選出の1期目の国会議員です。直近では2022年7月10日に執行された第26回参議院議員通常選挙において、野党統一候補として岩手県選挙区から立候補し、初当選を果たしました<sup>[1]</sup>。
当選回数は通算で1回、国会での在職期間は本レポート分析対象の2015年から2025年のうち約3年間(2022年8月の初登院から2025年6月現在)となります。
1972年3月6日生まれの50代の横沢議員は岩手県紫波郡矢巾町出身で、岩手県立盛岡工業高等学校を卒業後、スズキ株式会社に入社しました<sup>[2]</sup>。1995年にはモトクロス国際A級ライセンスを取得し、全日本モトクロス選手権に参戦していましたが、1997年に練習中の事故で脊髄を損傷し、車いす生活となりました<sup>[3]</sup>。
その後、リハビリ中に出合ったチェアスキーに魅せられ、2010年にはバンクーバーパラリンピックにアルペンスキー日本代表として出場し、男子大回転座位21位の成績を残しました<sup>[4]</sup>。このスポーツ経験を通じて、障害者の社会参加や地域の課題解決に関心を持ち、政界を志すようになりました。
国政進出前には地元岩手でNPO活動や立憲民主党岩手県連の役職を務め、地域密着の政治活動を続けてきました。2019年の参院選岩手選挙区に野党系無所属新人として挑戦しましたが、このときは惜敗しています<sup>[5]</sup>。しかしその経験で知名度と支援を広げ、再挑戦となった2022年の選挙では、与党現職との接戦を制し初当選しました。
現在は参議院では立憲民主・社民会派(立憲民主党・無所属議員による会派)に所属し、国会内では主に東日本大震災復興特別委員会や農林水産委員会などで活動しています<sup>[6]</sup>。
本レポートでは、2015年から2025年6月までのインターネット等で確認できる横沢議員の政治活動について、網羅的に調査・分析し、有権者が同議員の軌跡と現状を理解できるようまとめます。
横沢高徳議員の直近の選挙公報(2022年参院選の岩手県選挙区選挙公報)をひも解くと、そのスローガンと政策の全体像が浮かび上がります。
横沢氏は公報で「暮らし第一。政治をあたたかく改革する」といった趣旨のキャッチフレーズを掲げ、庶民の暮らしを守る政治への転換を前面に打ち出していました。
公約の柱は大きく3点に整理できます。
第一に地域経済の活性化と物価高対策です。岩手の地場産業支援、中小企業への助成強化、そして近年の物価高・ガソリン高から生活者を守るための緊急対策として消費税の一時的な減税や補助金による家計支援を訴えていました。
第二に子育て支援・教育の充実で、「子どもや子育て世代に惜しみなく投資する国へ」と訴え、具体的には児童手当の拡充、高等教育の無償化、待機児童解消などを公約しました。
第三に政治の信頼回復と平和主義の堅持です。ここでは政治とカネの問題へのメス入れ(企業・団体献金の禁止や情報公開の徹底)や、憲法9条をはじめとする平和主義の維持、そして原発ゼロ社会の実現などクリーンで安心できる社会の実現を目指す姿勢を示していました。
選挙公報に掲載された文章全体を分析すると、横沢氏の語り口や強調点も見えてきます。公報テキスト中で頻出した上位語を抽出すると、「暮らし」「子ども」「地域」「支援」「安心」「生活」「日本」「改革」「平和」「実現」といった言葉が目立ちました。
例えば「暮らし」「生活」は物価高や賃金停滞で苦しい有権者の日常を直撃する課題への関心を示し、「子ども」「支援」が頻出するのは子育て支援策を最大の売りにしていたためでしょう。また「平和」「改革」といった言葉からは、平和憲法を守りつつ政治のあり方を変えるという決意がにじみ出ています。