牧野たかお(本名:牧野京夫、1959年生まれ)は自由民主党所属の参議院議員で、静岡県選挙区選出の3期目のベテラン政治家です¹。
早稲田大学法学部卒業後にテレビ静岡の記者を経て政界入りし、1995年に静岡県議会議員に初当選(参議院公式サイトでは3期連続当選と記載)²。2007年に参議院議員に転じ、以後2013年、2019年と連続当選して在職18年目(2025年時点)を迎えています¹。
党内では早くから政策通として頭角を現し、農林水産分野の知見を買われて自民党水産部会長、情報調査会次長などを歴任しました³。第4次安倍内閣では国土交通副大臣・内閣府副大臣・復興副大臣に抜擢され、地方創生や災害対策に尽力しました⁴。
その後は参議院災害対策特別委員長や国土交通委員長など要職を歴任し、2024年10月には参議院の議院運営委員長(いわゆる参議院の「議長補佐」役)に就任しました⁵。党では幹事長代理および参議院国会対策委員長代行として与党運営を支える立場にもあり⁶、与党ベテランとして存在感を発揮しています。
本レポートでは、2015年から2025年までの10年間の牧野氏の政治活動を振り返り、公約の分析、立法活動、国会発言、党内外での役割、政治資金や発信力まで包括的に検証します。
牧野たかお氏の直近の選挙公報(2019年参院選)を分析すると、掲げたスローガンは「信頼しあえる社会をめざして」でした⁷。政治と社会から「信頼」という言葉が消えつつある現状への危機感を示し、表裏のない責任ある政治の復活を訴える内容です⁷。
マニフェスト全体を通じて頻出したキーワードは「地域」「防災」「経済」「教育」「信頼」「改革」「安心」「暮らし」「支援」「未来」などでした。例えば「地域」「暮らし」「防災」といった言葉が繰り返し登場し、地方の声を国政に届ける姿勢や災害から国民を守る決意が強調されています。また「経済」「支援」「未来」といった語からは、地域経済の活性化策や子ども・若者への支援、将来世代に責任ある財政運営を目指す意思もうかがえます。
実際、公報では「誰もが安心して暮らせる社会」「次世代につなぐ日本の未来」といったフレーズが並び、牧野氏の基本的なスタンスである保守本流の安定志向と地方重視の姿勢が読み取れました。さらに牧野氏は憲法改正にも前向きで、憲法9条改正や緊急事態条項創設について賛成の立場を明確にしており(2019年アンケートで「賛成」と回答)⁸⁹、公約集にも安全保障や自主憲法制定への言及が見られました。
以上から、牧野氏のマニフェストは「地域と共に歩み、国の守りと信頼を取り戻す」という軸で一貫しており、地方経済・社会保障の充実や防災対策といった足元の暮らしを支える政策から、憲法改正や財政再建など国家的課題まで幅広く目配りした内容になっていました。
牧野氏は2015年以降、自らが提出者(発議者)となった法案・決議をいくつか記録しています。提出数自体は多くありませんが、いずれも国政上重要な局面で果たした役割でした。
2017年通常国会での「テロ等準備罪」法案(組織的犯罪処罰法改正案)をめぐる与野党対立の中で、牧野氏は与党議員として法案成立に向けた国会対応に関与したとされています。この法案は参議院において中間報告という異例の措置により本会議採決に持ち込まれ、最終的に2017年6月に成立しました¹⁰。
特筆すべき立法活動が、旧優生保護法下の強制不妊被害者救済に関する決議です。牧野氏は超党派で提出されたこの謝罪決議案の筆頭発議者となり、2024年10月8日の参院本会議で全会一致可決に導きました¹¹。
この決議は、かつて優生手術を強いられた方々への謝罪と被害回復を謳ったもので、牧野氏ほか与野党11名が発議者に名を連ねています¹²。参議院では令和6年10月7日に提出され¹³、翌8日に起立採決で可決されました¹⁴。長年放置されてきた問題の解決に向け、与党ベテランとして調整に関与したことになります。