森屋宏議員の政治活動総覧(2015–2025)

概要

森屋宏(もりや ひろし)議員は自由民主党所属の参議院議員(山梨県選挙区、当選2回)であり、地方政治での豊富な経験を持つ保守政治家です。1957年山梨県都留市生まれ。北海道教育大学卒業後、幼稚園園長として地域教育に尽力し、1999年に山梨県議会議員に初当選、以後4期14年務めました。

県議会議長も歴任し、議会改革やドクターヘリ導入など地域課題の解決に取り組んできました。2013年、第23回参議院議員通常選挙に山梨選挙区から出馬し初当選、2019年に再選され現在2期目を務めています。在職期間は2013年から現在まで約12年に及び、2023年9月から約1年間、内閣官房副長官(政務担当)として岸田改造内閣を支えました。

森屋議員は自民党山梨県連会長として地元党組織を束ねる傍ら、参議院では総務大臣政務官(第3次安倍第1次改造内閣)や参院内閣委員長(2020年)等の要職を歴任し【1】、党副幹事長や政務調査会内閣第一部会長として政策立案にも関与しています。

本レポートでは、2015年から2025年までの10年間を分析期間とし、森屋宏議員の政策公約と実績、国会内外での活動全般を包括的に検証します。有権者が森屋議員の歩みを深く理解し評価できるよう、公表されたデータと追加調査に基づき事実を丁寧に紐解きます。

1. 選挙公報・マニフェスト分析

森屋議員の直近の選挙公報(2019年7月参院選)をひもとくと、「地方を元気に」「強い日本を」とのスローガンが大きく掲げられています。幼稚園園長出身らしく教育や地域福祉への思いが滲むメッセージで、「地域の現状を直視し、現実に立脚した政策の実現こそ政治の役割」と強調しています。公約の柱は大きく4分野に整理されており、地域・経済・生活・教育それぞれについて熱い決意が綴られています。

地域政策

森屋氏は「中央と地方の格差」を最大の課題に挙げ、単なる再分配ではなく各地域の個性を磨くことで持続可能な社会を築くと訴えました。「東京と共存しつつ地方はそれぞれの魅力で発展を」との主張で、地方分権・地域活性化への情熱が感じられます。

具体策としては地域産業の多様化や観光クラスター形成による若者定着策を掲げ、「地域を元気に。国の発展の原点です」とのフレーズで締めくくっています【2】

経済政策

「山梨の地域力を最大限に活かし、地域経済を元気に!」との見出しで、地場産業振興と雇用創出に意欲を示しました【3】。観光産業への期待や中小企業支援、地場資源の発掘による複数の主要産業育成など、地方経済の底上げ策が並びます。

当時アベノミクス下で景気指標は好調とされつつも「一人ひとりが豊かさを実感できない」と森屋氏は指摘し、地域目線の経済対策が必要だと強調しました。

生活政策

森屋氏は山梨県議時代から医療政策に注力しており、公約でも「暮らしの不安を解消し、山梨に住む皆さんを元気に!」と題して医療・福祉の充実を訴えました。具体的には、自ら尽力したドクターヘリの成果(年間約500回の出動で県民の命を救っていること)に触れ、今後も高度医療の確保や医療圏連携、電子カルテ・AIの導入で「日本を代表する医療充実県」を目指すとしています。

健康長寿日本一の山梨県をモデルに、全国的な医療改革への意気込みが感じられます。

教育政策

「教育は国家百年の計」との見出しで、40年にわたる幼児教育者としての経験を背景に教育改革への強い決意を示しました。少子化時代に「子どもたちこそ地域の宝」として故郷教育の徹底や高度技術人材の育成を掲げ、さらに「教師の多忙化解消」「地域総参加のチーム学校」で教育力向上を図ると訴えています。

森屋氏は教育現場を熟知しており、「教師の力量向上こそ基本」「地域で子どもを育む体制づくり」がキーワードでした。