水野素子議員の政治活動総覧(2015–2025)

概要

水野素子(みずの・もとこ)議員は立憲民主党所属の参議院議員(神奈川県選挙区選出、当選1回)です¹。1970年生まれで東京大学法学部を卒業後、旧宇宙開発事業団(現JAXA)に28年間勤務し、国際宇宙ステーション計画や産業振興の法政策立案、国際交渉に携わりました²

その間に外務省への出向やオランダ・ライデン大学で国際法修士号を取得するなど国際経験も積み、宇宙法政策委員長として業界の男女共同参画にも尽力しています³。平成22年(2010年)に中小企業診断士資格を取得し、令和元年(2019年)に国民民主党東京都参議院選挙区第1総支部長として政界入りしました

2020年に野党合流で立憲民主党へ参加し、翌2021年の衆議院選では東京16区から立候補(落選)後、2022年7月の第26回参院選神奈川県選挙区で初当選を果たしました。

本報告では、2015年から2025年までの水野議員の政治活動を、公開情報に基づき詳細に分析します。有権者が水野議員の歩みと現状を立体的に理解できるよう、選挙公約から立法活動、国会発言、党内活動、政治資金、SNS発信に至るまで事実を丁寧に描写します。


1. 選挙公報・マニフェスト分析

水野議員が直近の2022年参院選で掲げた選挙公報・マニフェストを分析すると、そのスローガンは「暮らしと子ども達の未来を守る」というもので、家計支援と将来世代の安心を強調する内容でした。公約の柱は大きく5つに整理できます。

物価高対策と社会保障強化

「物価高と戦う、年金をまもる」という公約を掲げ、消費税の時限的引き下げや最低賃金の段階的引き上げ、年金支給額の増額など家計支援策を打ち出しました。具体的には「消費税率を一時的に5%へ引き下げる」「全国平均の最低賃金を将来的に1,500円まで引き上げる」「年金の上乗せ給付を行う」など、物価上昇による生活苦から国民を守る施策を列挙しています。

この背景にはコロナ禍後の物価高騰や高齢世代の年金不安があり、水野氏は家計への直接支援と社会保障充実を急務と位置付けました。

教育の無償化と子育て支援

水野議員は教育政策を公約の柱に据え、「教育の無償化」を強く訴えました。小中学校の給食費無償化、高校・大学の授業料無償化を段階的に実現すること、さらには高校生まで支給される児童手当の拡充と所得制限撤廃を提起しています。

また、奨学金制度を貸与型から給付型へ転換し、子どもの多様な個性を伸ばす教育を推進することも公約に盛り込みました。水野氏自身、海外留学(オランダ)を経験したことから「教育への投資は国の未来への投資」との信念があり、高い学費負担が少子化の一因だと指摘して「世界と比べ日本の学費支援や教育投資は不十分」と改善を求めています。

先端技術産業による経済再生

宇宙開発に長年携わった経歴を生かし、「先端技術産業と暮らしの笑顔で日本を元気に」というユニークな公約を掲げました。これは、宇宙をはじめとする最先端技術で新たな産業を興し、日本全体を活性化させようというビジョンです。

具体的には「神奈川から『新・技術立国日本』を実現する」とし、既得権益を打破して真面目に働く人々が報われる社会へ転換すると訴えました。産業政策では、防災、公共交通、農業、教育、介護など国民の安全安心に資する分野を重視し、高付加価値産業への転換や内需主導型の経済構造へのシフトを目指すとしています。

宇宙開発の知見を地域経済にも役立てようとする姿勢から、水野氏の政策には理系技術者ならではの視点が感じられます。

ジェンダー平等と家族制度改革