山口和之議員の政治活動総覧(2015–2025)

概要

山口和之(やまぐち かずゆき)議員は福島県出身の政治家で、理学療法士という医療専門職の経歴を持つ異色の国会議員である。1956年4月7日生まれ(現在68歳)で、高校まで水泳選手として活躍し、東京国際大学と東京衛生学園専門学校リハビリテーション科を卒業後、理学療法士・介護支援専門員(ケアマネージャー)として長年医療現場に従事した^1

日本理学療法士協会東北ブロック会長や理事など業界団体の要職を歴任し、地域医療とリハビリの現場から国政を志した経歴を持つ^2。2009年、第45回衆議院議員総選挙で民主党から比例東北ブロックにて初当選し国政に進出^1。しかし2012年末の政権交代で議席を失った。

その後、2013年の第23回参議院議員通常選挙では新党から比例区で立候補して当選し、参議院議員に転身した^3。以降、参議院で厚生労働委員会や東日本大震災復興特別委員会など医療・福祉や復興関連の委員会委員を務め、専門知識を活かして活動した^4

在職中に所属政党の離合集散も経験し、民主党からみんなの党、さらに「日本を元気にする会」や無所属を経て、最終的に保守改革路線の日本維新の会に合流した^5。2019年7月に任期満了で議席を離れ、2022年の参院選で維新公認で比例出馬したが落選した。しかし2024年10月に梅村聡議員の衆院選出馬に伴う自動失職により、繰り上げ当選で参議院に復帰した(衆議院1回、参議院2回当選)^2 ^6

本レポートでは、2015年から2025年6月までの約10年間にわたる山口議員の政治活動を、公開情報に基づき多角的に分析する。有権者が山口議員の歩みと現在のスタンスを深く理解できるよう、選挙公約の検証から議会での言動、政策分野での取り組み、情報発信まで網羅的にまとめることを目的とする。

1. 選挙公報・マニフェスト分析

山口和之議員の最新の公約として注目すべきは、2022年7月の第26回参議院選挙における選挙公報・マニフェストである。理学療法士として「誰一人取り残さない社会の実現」を掲げる山口氏は、この選挙でも一貫して医療・介護・リハビリの充実を柱に据えた^7 ^8

公報に大きく謳われたスローガンは「いのち輝く未来のために」であり、高齢者から障がい者、子どもまで安心して暮らせる福祉社会を目指す決意が示された。

具体的な政策項目

選挙公報のキーワードを分析すると、「医療」「介護」「リハビリ」「福祉」「地域」「福島」「支援」などが上位を占めており、医療福祉分野に軸足を置く姿勢が浮き彫りになった。

これらから、山口氏は自身の専門性を全面に出して有権者に訴えていることが読み取れる。例えば理学療法士としての経験を背景に「リハビリ難民ゼロ」を掲げ、地域包括ケアシステムの構築を約束するなど、現場を知る者ならではの説得力で政策を物語るように語っていた。

全体としてマニフェストは生活者目線で緻密に組み立てられており、福祉国家を志向する穏健保守としてのカラーが滲み出ていたと言える。

2. 法案提出履歴と立法活動

山口議員の立法活動で特筆すべきは、やはり医療・福祉分野での積極的な法案提出とその成果である。とりわけ2018年には超党派の議員立法として「脳卒中・循環器病対策基本法」の成立に関与し、同法の推進に尽力した^8