森屋隆(もりや たかし、1967年6月28日生まれ)は、労働組合運動出身の政治家で、立憲民主党所属の参議院議員(比例区、1期)です^2。高校卒業後に西東京バス株式会社で運転士・整備士として働き始め、生来の真面目さで職場の信頼を集めました^4。
1998年からバス労組の執行委員を務め、以後日本私鉄労働組合総連合会(私鉄総連)の交通対策局長など労働界の要職を歴任し、公共交通の安全と労働者の権利擁護に尽力してきました^5。
民主党から公認内定を受けて2016年参院選に民進党から初挑戦し、比例区で102,208票を獲得するも僅差で落選します^6。その後、民進党の分裂を経て支持母体の私鉄総連とともに立憲民主党に合流し、2019年参院選に比例代表から再出馬。104,339票を得て、立憲民主党の比例候補として念願の初当選を果たしました^7。
以後、国土交通委員会や行政監視委員会で活動し、参議院では国土交通委理事などを務めています^8。党内では企業・団体交流委員会副委員長として労組や業界団体とのパイプ役を担い、さらに立憲民主党大阪府連では代表代行兼政策調査会長を務めるなど、地方組織の強化にも関与しています^9。
本レポートでは、2015年から2025年6月までの10年間にわたる森屋議員の政治活動を網羅的に分析し、その公約と実績、発言傾向や政策的スタンスを明らかにします。
森屋隆議員が直近の選挙で掲げたマニフェストには、彼の政治理念と優先課題が端的に表れています。スローガンとしては公式サイト冒頭に「働く者が報われる社会、平和で安心して暮らせる社会の実現へ」と掲げられ^10、すべての人々が安心して笑顔で暮らせる社会を目指す決意を示しています。具体的な政策の柱は大きく5本立てでした。
1つ目は「働いても生活が楽にならない現状の打破」です。森屋氏は全国で増加するワーキングプアや非正規雇用労働者の困窮に強い危機感を抱き、「行き過ぎた雇用の規制緩和」により労働者の4割が非正規となった現状を是正すると訴えました^11。
アベノミクスで景気が回復と言われても富裕層しか恩恵を受けていない、と彼は指摘し、額に汗して働けば生活が向上する当たり前の社会を取り戻すと誓っています^13。具体策として賃金の底上げや正社員化の促進、長時間労働の是正など労働環境改善を掲げました。
2つ目は「男女の格差是正と女性がいきいき活躍できる仕組み作り」です。2016年施行の女性活躍推進法に触れつつも、多くの働く女性が不安定な非正規雇用に置かれ低賃金に苦しんでいるとして、この現状を改善し男女格差をなくすと約束しました^14。
育児と仕事を両立できる環境整備や、同一労働同一賃金の徹底などを通じ「すべての女性が活躍できる持続可能な社会」を目指すとしています^15。
3つ目は「すべての基本は平和」という平和主義の訴えでした。森屋氏は自身の平和観を鮮明にし、国内外の戦争やテロの悲劇に言及するとともに、在日米軍基地の過度な負担が沖縄県に集中している現状を問題視しました^16。
辺野古への新基地建設も「根本的な解決にならない」と断じ、基地の整理縮小による安全で平和な沖縄を取り戻すと主張しています^17。さらに、2015年に強行採決された安保関連法(集団的自衛権の解禁)は「憲法違反」であり日本を「戦争のできる国」に舵切ったものだと批判^18。戦後70年以上守ってきた平和の大切さを未来に引き継ぐため、戦争法制の見直しを訴えました。
4つ目は「人間らしく生きられるルールづくり」です。少子高齢化で社会保障財源が厳しい中でも、人々の将来不安を解消するため教育格差や雇用格差を是正し、「人への投資」を最重視すると宣言しました^19。