三宅伸吾(みやけ しんご)議員は自由民主党所属の参議院議員で、香川県選挙区選出の2期目政治家です。1961年生まれ、早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業後、日本経済新聞社で記者・編集委員として活躍し、経済政策や制度改革を提言する論説を手がけました¹。
2013年7月の第23回参院選で故郷の香川から初当選し、2019年の第25回参院選で再選を果たしています²。
当選以来、参議院外交防衛委員長や外務大臣政務官、そして直近では防衛大臣政務官兼内閣府政務官(2023–2024年)など要職を歴任し、2024年11月28日から参議院財政金融委員長を務めています。党内でも環境部会長、外交部会長代理、防衛部会長代理、政務調査会副会長などを歴任し、多方面に政策経験を積んできました。
本レポートでは、2015年から2025年6月までの約10年間の三宅議員の政治活動を網羅的に分析し、掲げた公約と実績、立法・発言記録、政策課題への対応や政治姿勢を明らかにします。
三宅氏は直近の参院選(2019年)において、「凛とした日本。」をキャッチフレーズに掲げ、地域と国の活力を取り戻すビジョンを示しました。選挙公報では「『稼ぐ力』を香川から日本に!!」とのスローガンを打ち出し、経済再生への意気込みを強調しています。
マニフェストの主な政策柱は大きく3つに分類でき、(1) 強い経済、(2) ぬくもりのある社会、(3) 暮らしを守る外交・安全保障がその骨子でした。
人口減少に立ち向かいインフラ整備を進めることで、地域から稼ぐ力を復活させると訴えました。具体策として、高松港の大型物流ターミナル整備など地元香川の経済基盤強化を「強力に支援」すると明記し、観光産業の高付加価値化や地域農林水産業の振興にも取り組むとしました。
産業政策では「蓄電池立国」を掲げ、バッテリー産業や再生可能エネルギー産業への投資支援を約束しています。実際、三宅氏は参院議員有志で「バッテリー等基盤産業振興議員連盟」を立ち上げ、政府への政策提言を重ねて関連予算の確保に向けて取り組んでいます。
これらの経済政策からは、地域経済の活性化と経済安全保障を両立させる意図が読み取れ、"地方発の成長"を目指す現実志向の姿勢が浮かびます。
三宅氏は「誰一人取り残さない」包摂的な社会も公約の柱に据えました。具体的には、ひとり親家庭の支援や子ども食堂・医療ボランティアの応援、教育や高齢者福祉の充実など、生活弱者への支援策を多数掲げています。
なかでも注目されたのが、家族法制の分野で選択的夫婦別姓制度の早期実現を明記した点です。これは保守系議員が多い自民党の中では目立つ公約で、結婚時に夫婦が同じ姓を強制される現行制度を見直し、旧姓使用では解決できない根本問題に踏み込む姿勢を示しました。
また司法制度改革にも意欲を見せており、経済的に困窮する家庭が法的サービスを受けやすくする民事法律扶助(法テラス)制度の拡充も約束しました。これらの施策には「支援」「実現」といった言葉が頻出し、人々に寄り添い具体的な解決策を実行するという決意が表れています。
公約集では国内向けの社会経済政策が前面に出ていましたが、三宅氏は安全保障面でも「凛とした日本」を掲げています。初当選直後に高村正彦元外相から贈られた「経済で失敗すれば内閣が倒れるが、外交・安保で失敗すれば国が倒れる」との教えを胸に刻み、外交・防衛にも力を注ぐと述べています³。
実際、2017年には参議院外交防衛委員長として超党派の立場で外交・安保審議を取り仕切り、2021年には外務大臣政務官としてアジア・欧州各国との国際会議に出席するなど、安全保障分野の現場も経験しています。選挙公報自体には細かな安全保障政策は多く書かれていませんでしたが、本人の経歴から有権者に「外交・防衛にも精通した議員」であることを印象づけ、公約の裏付けとしていたと言えます。