森本真治議員の政治活動総覧(2015–2025)

概要

森本真治(もりもと しんじ)は広島県選挙区選出の参議院議員(立憲民主党所属)で、2003年から広島市議を3期務めた後、2013年の第23回参院選で初当選した政治家である¹

1973年広島市生まれ、同志社大学卒業後に松下政経塾で研鑽を積み、地元議会から国政に転じた経歴を持つ²³。参議院議員としては現在2期目(当選2回)であり、2019年の再選以降は参議院経済産業委員長など要職も歴任してきた⁴⁵

本レポートでは、2015年から2025年までの10年間にわたる森本氏の政策・活動実績を俯瞰し、有権者がその歩みとスタンスを立体的に理解できるようまとめる。広島選出議員として被爆地の平和継承に力を入れる一方、社会保障や地域活性化をライフワークと位置づけ、クリーンな政治の実現にも情熱を注ぐ森本氏の軌跡を、多角的なデータとともに分析する。

1. 選挙公報・マニフェスト分析

直近の参院選(2019年)における森本真治氏の選挙公報・公約からは、「平和」「暮らし」「ふるさと」を守るという三本柱が鮮明に読み取れる⁷⁸。公報には「まじめに働く人が報われ、すべての人に政治の光を実感できる『共に生きる社会』の実現」が掲げられ、政治への信頼回復を誓うメッセージが冒頭に記されていた

平和外交への取り組み

具体的な政策項目としてまず強調されたのは、被爆地・広島の代表として世界に誇れる平和憲法(憲法9条)の堅持と核兵器廃絶への取り組みである。森本氏は「核兵器禁止条約の署名・批准を訴える」と明言し、被爆者援護の充実など核なき世界への決意を鮮烈に示した¹⁰

社会保障制度の充実

第二の柱は「暮らしのセーフティーネット構築」で、災害に強い社会づくりや全世代型の社会保障制度改革が並ぶ¹¹。防災・減災への公共投資シフト、年金・医療・介護・子育て支援の安定強化を通じ、将来不安のない社会を作ると約束している¹²

地方創生と地域経済

第三に掲げた「完全地方主義」では、地方への財源移譲や中小企業支援、過疎対策の強化による地域経済の活性化を訴えた¹³。農業では戸別所得補償制度の復活・拡充で持続可能性と食の信頼確保を両立するとし¹⁴、交通網整備による事故減少(国道2号線の渋滞・事故対策)など具体的な地域課題にも言及している¹¹

これら公約文から頻出するキーワードを見ると、「平和」「核兵器」「社会保障」「地域」「支援」といった語が上位を占めており、森本氏が平和外交と社会福祉、地域振興に重点を置く中道リベラル派であることがうかがえる。実際、公約全体からは「弱い立場の人々に政治の光を」という温かみと、「政治不信を正す健全な政治を取り戻す」という決意が伝わり、地元広島の声を国政に届けつつ日本全体の構造改革にも取り組むというバランスの取れた政治姿勢が浮かび上がっていた。

2. 法案提出履歴と立法活動

森本真治議員の国会における立法活動を見ると、野党議員として限られた立場の中でも積極的に議員立法を模索し、社会問題の解決に取り組んできたことが分かる。

食品ロス削減推進法への貢献

森本氏が関与した重要な成果の一つが、2018~2019年に超党派で推進された「食品ロス削減推進法」である。この法案は公明党を中心とした超党派の取り組みとして策定が進められ¹⁵、森本氏も食品ロス問題の解決に向けた議論に参加した¹⁶。この法案は2019年に成立し(同年10月施行)、食品ロス削減が国家的課題として位置づけられる転機となった。国民生活に身近なテーマで成果を上げた背景には、森本氏自身が社会福祉を専門とし現場感覚を持っている強みがあるだろう。

その他の立法活動

森本氏は他にも、旧統一教会問題を受けて野党共同の「悪質献金被害防止法案」(高額献金の取り消しを可能にする法案)を2022年秋に提出するなど²⁰、その時々の社会問題に即した法整備を積極的に提案してきた。