山下芳生議員の政治活動総覧(2015–2025)

概要

山下芳生(やました・よしき)議員は、日本共産党所属の参議院議員で現在4期目を務めるベテラン政治家です¹。香川県出身、鳥取大学農学部卒業後に大阪の生協職員や日本民主青年同盟の専従など庶民生活に根差した活動を経て政界に入りました²

1995年に35歳で初当選(大阪府選挙区)し、以来一貫して庶民の暮らしを守る政策と平和主義を掲げてきました³。2001年にいったん議席を失ったものの、2007年に比例代表で国政復帰し、以降は党参議院国会対策委員長や書記局長(2014–2016年)を歴任するなど党の要職を担います

2020年からは党筆頭副委員長として、不破哲三・志位和夫両氏に続く党幹部として政策立案と野党共闘に尽力しています。選挙区は現在全国比例区(近畿を中心に活動)で、2019年7月の第25回参院選で4度目の当選を果たし、現在の任期は2025年7月までとなっています

本レポートでは、2015年から2025年6月までの直近10年間を中心に、山下議員の政策・議会活動を多角的に分析し、有権者がその歩みとスタンスを立体的に理解できるようまとめます。

1. 選挙公報・マニフェスト分析

2022年参院選における基本政策

山下芳生議員(日本共産党)は2022年の参議院選挙(第26回)に際し、党副委員長として「平和でも、暮らしでも、希望がもてる日本に」というスローガンを前面に掲げました。このキャッチフレーズには、戦争か平和か・新自由主義か福祉重視かという日本の進路を根本から問う意図が込められており、山下議員も各地の演説で「弱肉強食の政治を転換し、やさしく強い経済をつくろう」と訴えました。

実際、2022年当時の選挙公報で山下氏(共産党)が提示した政策は大きく二本柱に分かれていました

暮らしと経済政策の柱

一つは暮らしと経済政策の柱で、物価高騰に苦しむ国民への具体策として「消費税5%への緊急減税」やインボイス制度中止を掲げました。加えて「大企業の内部留保に課税し中小企業支援・賃上げに充当」「年金削減ストップ」「大学授業料の半額・給食費の無償化」など、家計を直接潤す再分配策が並びます

エネルギー・環境分野では「原発ゼロ」を明言し、省エネと再生可能エネルギーの普及によって持続的な経済成長を図るとしました¹⁰。さらには「男女の賃金格差是正」「ジェンダー平等の推進」も盛り込み、弱者に優しく誰もが希望を持てる社会を目指すビジョンを示しています¹¹

平和外交と憲法擁護

もう一つの柱は平和外交と憲法擁護です。ロシアのウクライナ侵攻など緊迫する国際情勢を踏まえ、「軍事費2倍化」や敵基地攻撃能力の保有といった政府方針を「危険な道、大増税の道」と批判し、「力対力でなく外交による平和を」と強調しました¹²¹³

具体的には「憲法9条を活かした東アジアの平和構築」「ロシアには即時侵略停止と国連憲章順守を求める」「日本政府に核兵器禁止条約への参加を迫る」「沖縄・辺野古の新基地建設中止」などを公約に掲げています¹⁴。これらは山下氏自身が長年訴えてきた平和主義の延長線上にあり、与党や他党の改憲論や軍拡路線と明確に一線を画す内容です。

政策分析の特徴

選挙公報のキーワード頻度を分析すると、「平和」「暮らし」「経済」「消費税」「賃上げ」「年金」「原発」「9条」などが上位に並びました。実際、冒頭のスローガンに象徴されるように「平和」と「暮らし」という言葉が頻出し、山下氏が安全保障と経済生活の両面で国民の安心を守ることを最重視している姿勢が浮かび上がります。

また「消費税」「賃金」「年金」など具体的な生活経済の政策用語も目立ち、物価高に苦しむ庶民の声を政策に反映しようという意気込みが読み取れます。総じて、山下議員のマニフェストは「命と暮らし最優先」と「憲法9条堅持」という日本共産党の基本路線を色濃く反映したものとなっていました。

2. 法案提出履歴と立法活動