青木一彦(あおき かずひこ)議員は自由民主党所属の参議院議員で、鳥取県・島根県選挙区選出(合区)です。1961年島根県生まれで、早稲田大学を卒業後、故・青木幹雄参院議員(元官房長官)を父に持つ政治家一家に育ちました。
民間テレビ局勤務や父の秘書官を経て、2010年の参院選島根選挙区で初当選し政界入り。その後、2016年の合区導入後も鳥取・島根合区選挙区から再選、直近の2022年参院選でも新人候補らを破り3選(当選回数3回)を果たしています。
議員在職期間は2010年7月から現在まで約15年に及び、党副幹事長や国会対策副委員長、国土交通副大臣などを歴任してきました。2024年10月発足の石破内閣では内閣官房副長官に起用され、政府中枢の一角を担っています。
本レポートでは、2015年から2025年6月までの活動を対象に、青木議員の公約や政策、国会内外での動静を包括的に分析します。その目的は、有権者が本議員の歩みと実績を正しく評価するための客観的資料を提供することにあります。
青木議員は直近の2022年参院選で「決断と実行。暮らしを守る。」をキャッチフレーズに掲げ、地方創生と生活支援を前面に訴えました。選挙公報やマニフェストから浮かび上がるキーワードは「地方」「人口」「インフラ」「安心・安全」「デジタル」などが上位に並び、彼の政治姿勢が地域重視と国土強靱化にあることがわかります。
実際、公約の柱は大きく三点に整理されました。
青木氏は「今やらなければ地方に将来はない」という強い危機感を示し、地方への人材・産業回帰を訴えました。具体的には「ふるさと創生」の理念のもと、人口が都市部に偏在する現状を改めて「本当の幸せとは何か、住みよい環境とは何か」を問い直し、地方で安心して暮らせる社会を実現するとしています。
この背景には、彼自身が鳥取・島根という人口減少が深刻な地域の代表であり、「地方の活力なくして国の発展なし」という信念があると公式サイトでも強調されています。頻出キーワードの筆頭に「地方」「人口」があるのは、この問題意識を強く訴えた証拠と言えます。
青木氏は近年激甚化する自然災害に対処するため、「強靱な国家」を築くと公約しました。具体策として、交通インフラや情報通信網などハード・ソフトの両面から防災減災インフラを整備し、災害に強い国土を目指すと述べています。
例えば山陰道(山陰自動車道)など地域の幹線道路整備は彼の長年の持論で、地域経済の動脈として必要不可欠だと訴えました。事実、彼は山陰道の早期全線開通をライフワークと位置付け、関係自治体と決起大会を開くなど熱心に推進しています。また「安心・安全」「強靱化」といった語も公約文中で繰り返され、防災インフラ強化が大きな比重を占めました。
政府の掲げる「デジタル田園都市国家構想」に呼応し、青木氏はデジタル化による地域課題の解決と格差是正を公約に盛り込みました。具体的には地方の通信基盤を充実させ、テレワークやリモート教育・医療などを促進することで、地方にいながら都市と遜色ないサービスを享受できる環境を作るとしました。
公約キーワードでも「デジタル」が上位にあり、青木氏が地方創生の手段としてデジタル技術に期待を寄せていることが窺えます。これに関連し、彼は宇宙・IT分野にも関心を示しており、政府の有識者会議に参加して宇宙開発や先端技術の地方展開について発言したとされています。