青木愛(あおき あい、1965年東京都生まれ)は、元タレント・歌手という異色の経歴を持つ政治家で、衆議院議員3期・参議院議員3期を務めてきました。千葉大学大学院で教育学修士号を取得し、保育士としての職歴も持ちます¹。
2003年に民主党から衆院初当選し、その後参院・衆院を行き来しながら、小沢一郎氏と行動を共にして自由党や国民の生活が第一、日本未来の党、生活の党など政党再編の渦中に身を置きました。2016年に参議院比例区で国政復帰を果たし、2022年には立憲民主党から比例区で当選(党内得票6位)し現在に至ります²。
在職中、衆議院消費者問題特別委員長や参議院行政監視委員長、参議院国土交通委員長など要職も歴任し、現在は立憲民主党参議院議員会長代行として野党の要として活動しています³。
本レポートでは、2015年から2025年までの10年間に焦点を当て、青木議員の政策・立法活動を多角的に分析し、彼女の歩みを振り返り、その公約と現実のギャップや議会内外での影響力を検証することで、有権者が青木議員の政治姿勢と実績を立体的に理解できることを目的としています。
青木議員が直近の2022年参院選で掲げた選挙公報やマニフェストには、彼女の政治信条が端的に表れています。スローガンは「未来はいつも子どもたちの中にある。笑顔があふれる未来へともに前進!」といった前向きなもので、子ども・教育政策の充実を軸に据えていました。
実際、公報では「人にこそ光をあてるべきです」と訴え、教育・長寿福祉・研究開発への国家予算充実を掲げています。キーワードの頻出度を見ると、「子ども」「教育」「福祉」「研究開発」「未来」「笑顔」「税制」「手当」「年金」「エネルギー」などが上位に並びました。これらからは、青木議員が子育て支援や高齢者福祉の充実、所得を底上げする税制改革、そして食料・エネルギー自給など日本の将来基盤を強化する政策に力点を置いていることが読み取れます。
政策の柱は大きく三つに整理できます。
第一に子育て・教育の支援強化では、児童手当の拡充や教育無償化に近い環境整備を目指し、「子どもたちの心と可能性を大切に育てる」と強調しました。
第二に社会保障の充実では、「年金で老後を支え、医療・介護で生き抜ける」安心社会を掲げ、年金支給水準の維持・向上や介護現場の充実策を訴えました。
第三に経済・暮らしの立て直しとして、「抜本的な税制見直しと各種手当で個人の収入増を実感させる」と約束し、消費増税による負担増を是正し家計を温める政策を提示しました。
また同時に、「食料とエネルギーの自立」を掲げて農林水産業の強化や再生可能エネルギー推進を唱え、外国依存を減らす経済安全保障にも言及しました。さらに特筆すべきは「表現の自由を守る」との標語も掲げていた点です。過去に人権擁護法案への懸念から表現の自由を重視する姿勢を示してきた彼女ならではの公約と言えます。
選挙公報全体としては、「人への投資」と「生活安全保障」に重点を置いた内容でした。頻出トップ10語を見ると、「子ども」「教育」「福祉」「未来」「研究」「税」「年金」「エネルギー」「平和」「科学」といった言葉が並びました。
これらから、青木議員は人材育成と科学技術による未来創造、そして社会保障・エネルギー・食料の安定供給による暮らしの安心を、自身の政治信条の核に据えていることが分かります。実際、彼女は2022年の選挙戦で「いつも時代を切り開くのは人であり、先端科学技術だ」と訴え、人への投資が未来を拓くという信念を強くアピールしていました。
総じて青木議員のマニフェストは、生活者目線の経済政策と将来世代への責任を前面に出したものとなっていました。