青山繁晴(あおやま しげはる)は、自由民主党所属の参議院議員(比例代表)であり、2016年(平成28年)と2022年(令和4年)に当選し現在2期目を務めるベテラン政治家です¹。1952年神戸市生まれで、共同通信社の記者やシンクタンク社長・研究員、大学講師といった経歴を持ち、安全保障やエネルギー分野の専門家として知られてきました²。
政界入り前から政府の原子力安全や国家安全保障に関する有識者委員を務め(報酬は辞退)るなど政策の現場に関わり、「国を官任せにしない」姿勢で危機管理や資源開発の提言を行ってきました。
青山氏は2016年の第24回参院選で政界に進出しました。当初から「献金ゼロ、パーティー券収入ゼロ」を掲げ、一切の企業・団体献金や資金パーティーに頼らず「国益のみ」を貫くと宣言。党の支援団体や後援会も持たず無派閥を貫くその潔癖さは有権者の注目を集めました。
当選時は無名新人ながら全国で48万1890票の個人票を得て比例当選し(自民党公認)、「政治家にも納期を」「1期6年で退く」と任期限定を唱えたことも話題となりました。しかし在職中に自ら掲げた政策が次々と具体化し始めたことから、「成果が出たのでここで辞めれば大逆流が起きる」と判断し、2022年には一転して再選に挑戦。結果として2期目に突入し、現在は参議院環境委員長(2024年11月28日就任)など要職も務めています³。
本レポートでは、2015年から2025年6月までの青山繁晴氏の政治活動を振り返り、その政策公約と実績、国会内外での言動、政治姿勢を包括的に分析します。
青山氏の直近の選挙公報・マニフェストには、本人の政治信条が端的に表れています。2022年参院選で掲げたスローガンは「決断と実行。暮らしを守る。」で、プロフィール欄には「献金NO、パーティーNO、団体支援NO、国益のみ」と太字で記され、徹底したクリーン政治を訴えました。
実績欄では「中韓の国土侵食を阻止する土地法成立」「韓国のホワイト国優遇停止」「経済安全保障推進法案の上程」など保守色の強い成果を強調し、自身が代表を務める議員グループ「日本の尊厳と国益を護る会」(通称「護る会」)の存在にも触れています。
護る会は青山氏が党派を超えて結成した保守系議員集団で、時期により70名台前後の規模で推移しており、「派閥政治を超える新しい議員集団」として皇室や安全保障政策で政権に影響力を及ぼしてきました。
公約の中身を見ると、青山氏の重点政策は大きく三本柱に整理できます。
一つ目は国家主権と安全保障の強化です。具体的には「スパイ防止法の制定」「中韓による土地買収の阻止」「拉致被害者・特定失踪者の奪還」「父系一系による皇位継承の安定」といった項目が並び、いずれも国家の独立性や伝統を守るための政策です。
現行では日本にスパイ防止法(防諜法)が存在しないことを憂い、諜報活動を取り締まる法整備を悲願として掲げました。また、中国や韓国資本による北海道や離島の土地買収問題に初めてメスを入れる法制度をつくることも約束しています。
皇室の存続問題では、平成時代に政府が検討していた女性宮家・女系天皇容認に明確に反対し、「男系による皇位継承の維持」を断固主張。実際、青山氏は当選後に安倍・菅・岸田と3代の首相に対しこの立場を直諫し、政府方針を「父系一系を護る」方向に転換させたと自負しています。
二つ目の柱は経済再生と資源エネルギー自立です。青山氏は「日本は『資源のない敗戦国』という思い込みから脱するべきだ」と主張し、日本近海に埋蔵されたメタンハイドレートやレアアースなど自前の海洋資源の実用化を公約に掲げました。