猪瀬直樹議員の政治活動総覧(2015–2025)

概要

猪瀬直樹(いのせ なおき、1946年11月20日生まれ)は、日本維新の会所属の参議院議員(比例区選出、1期)であり、現在同党の参議院議員団幹事長を務めています¹ ²

作家として頭角を現した猪瀬氏は、小泉政権下での道路公団民営化委員など改革派の論客として活躍し、2007年に東京都副知事、2012年には東京都知事に就任しました³

しかし徳洲会グループからの5000万円提供問題が発覚し、知事在任わずか1年で辞職する波乱を経験します

政治の表舞台から退いた後も2015年から大阪府・市の特別顧問に招かれ、地方分権改革や大阪都構想に助言を与えるなど、政界との関わりを保ちました

2022年7月、維新の会公認で参院選比例区に立候補し、初当選。戦後最多得票で都知事に当選した経験を持つ元首長が、約9年ぶりに国政に復帰した形です。

現在の任期は2022年からで、本報告では2015年から2025年6月までの猪瀬氏の活動を俯瞰し、有権者がその歩みと実績を立体的に評価できるようまとめます。

1. 選挙公報・マニフェスト分析

公約の基本方針

猪瀬氏が直近で当選した第26回参院選(2022年)では、日本維新の会の改革路線を前面に押し出した公約を掲げました。選挙公報には大きな見出しで「改革。成長。そして日本再生」といったスローガンを掲げ、長年停滞が続く日本社会の立て直しを訴えています。

重点政策

具体的な政策柱は明快で、経済再生と生活支援のための"大胆な減税"が最優先に挙げられました。消費税の時限的な引き下げを含む思い切った減税策と景気刺激策を断行し、コロナ禍や物価高騰で苦しむ家計を直接支援するというものです。

この「大胆な減税と景気刺激策」には消費税減税も明記されており、猪瀬氏自身も選挙戦で「徹底した大規模減税を断行し、日本経済と国民生活を立て直す」と強調していました(選挙公報より)。

さらに教育無償化の実現と子育て支援策の拡充も公約の柱です。具体的には、高等教育までの授業料無償化や、児童手当など子育て支援策の所得制限撤廃を打ち出し、「人づくりこそ国づくり」との信念のもと将来世代への投資を約束しました。また、奨学金については「残存債務の全額免除と給付型奨学金への移行」を掲げ、若者の経済的負担軽減にも踏み込みます。

加えて社会保険料や債務の減免による可処分所得の底上げや、将来世代にツケを回さない財源の多様化も提言し、財政規律と成長戦略の両立を図る姿勢を示しました(以上、選挙公報による公約要旨)。

公約の特徴

猪瀬氏のマニフェストで頻出したキーワードを見ると、「減税」「経済」「支援」「教育」「投資」「財源」などが上位に並びます。これは彼が経済再生と人材育成を軸に据えていたことを物語ります。

実際、公約文中の言葉数トップは「減税」で、公約全体を通じて減税への意欲が際立っていました。また「教育」「子育て」といった単語も頻繁に登場し、子供や若者への投資に重点を置いていたことが分かります。

一方、「改革」「民営化」など行政改革路線の言葉も散見され、猪瀬氏がこれまで取り組んできた構造改革志向を継承していることが読み取れます。