越智俊之議員の政治活動総覧(2015-2025)

概要

自由民主党所属の参議院議員、越智俊之(おち としゆき)氏は、1978年3月9日広島県江田島市生まれの政治家で、2022年7月の第26回参院選比例代表で初当選した新人議員です¹。商工会青年部で長年にわたり活動し、広島県商工会青年部連合会長や全国商工会青年部連合会長を歴任した経歴を持ち、地方の中小企業支援に尽力してきました²³

建設会社の役員として地域経済を支えてきた現場経験と、人脈を生かした「現場主義」が信条で、「地域と中小企業・小規模事業者ひとり一人の代弁者として国に声を届ける」とのモットーを掲げています

分析対象期間は2015年から2025年ですが、越智氏が国政に直接関与したのは当選後の2022年以降であり、本レポートでは主にその当選後3年間の活動を中心に、氏の政策動向と政治姿勢を包括的に検証します。参議院比例区選出議員として在職3年目の越智氏は現在、参議院副幹事長を務め、党内で若手ながら要職を担っています

以下では、選挙公約の分析、立法活動、国会発言、党内外での役割、SNS発信、公約実現度について順に詳述し、有権者が氏の政治活動を立体的に評価できる資料とします。

1. 選挙公報・マニフェスト分析

2022年参院選で越智氏が掲げた選挙公報・政策集の内容は、徹底して「地方経済の活性化と中小企業支援」に特化していました。スローガンには「現場の声を第一に、誰一人取り残さない豊かな地域へ」といった趣旨の文言が並び、実際の政策項目もほぼ全てが地方と中小企業・小規模事業者の支援策です。

公約の柱は大きく4つに整理されており、

(1) 「地域を支える中小企業・小規模事業者の未来のために」 – 生産性向上や販路拡大への支援強化 (2) 「ふるさとに元気を取り戻す」 – 地方への移住促進や防災・減災の強化⁷⁸ (3) 「地域で頑張る商工会青年部・女性部への支援強化」 – 地域の商工会活動への補助金拡充 (4) 「小規模事業者を伴走支援する商工会の体制整備」 – 商工会職員の増員や会館の耐震化支援など¹⁰¹¹

いずれも氏自身がかつて率いた商工会青年部の経験を色濃く反映した政策です。

公約の特徴的なキーワード分析

公約文中で特に頻出したキーワードは「支援」「中小企業」「小規模事業者」「地域」でした。実際、政策集の文章では「支援」という語が50回近く登場し¹²、「中小企業・小規模事業者」も繰り返し言及されています¹³

例えば「チャレンジする中小企業・小規模事業者支援の強化」「事業承継補助金の拡充を図りつつ...創業者の取組みを後押しします」など、あらゆる政策項目に"支援"の文字が入る念の入れようでした¹²¹⁴。このことからも、越智氏の政治姿勢が中小企業や地元産業の応援に強くフォーカスしていることが読み取れます。

また「DX(デジタルトランスフォーメーション)」や「防災」「事業承継」などの専門用語もしばしば登場し¹⁵¹⁶、単なる抽象論ではなく具体的な施策(例えば「商工会にデジタル推進員を設置」「豪雨災害に備えた事業継続計画(BCP)策定支援」等¹¹¹⁶)を掲げていた点も特徴的です。

公約に外交・安全保障や社会保障の言及はほとんどなく、自身の専門分野に政策資源を絞った実務型のマニフェストと言えるでしょう。上位頻出10語には「支援」「中小企業」「地域」「小規模」「商工会」「事業承継」「移住」「防災」などが並び、いずれも地方創生と中小企業振興に関わる用語でした。これは、越智氏が初陣の選挙で自らの強みを明確に打ち出し、有権者に専門分野への注力を訴えたことを示しています。

2. 法案提出履歴と立法活動

越智氏の立法活動は、初当選から3年間という短い期間であることもあり、議員立法の提出実績は確認されていません(公式データベースにも越智氏を提出者とする法案情報は見当たりません¹⁷)。新人議員としてまずは政府提出法案の審議に臨む立場で、法案の単独提出や超党派立法プロジェクトの主導までは至っていないようです。

政府提出法案への取り組み

ただし、政府提出法案への態度や賛否行動からは、与党議員として着実に役割を果たしている様子がうかがえます。越智氏は基本的に党の方針に沿って投票しており、例えば2023年の日本学術会議法改正(内閣提出)でも賛成票を投じるなど¹⁸、与党の一員として政府方針を支える立場を崩していません。これは新人議員として党の信頼を得る振る舞いとも言えます。