臼井正一(うすい しょういち、1975年1月8日生)は千葉県出身の政治家で、自由民主党所属の参議院議員(千葉県選挙区選出、1期)です¹。
祖父の臼井荘一氏は戦後に衆議院議員を務め、父の臼井日出男氏も防衛庁長官や法務大臣を歴任した元衆議院議員という政治一家に育ちました²。日本大学文理学部を卒業後、臼井氏は民間企業(株式会社オリエンタルランド)に勤務し、父・日出男氏の議員秘書を経て政界へ進みました。
2003年に千葉県議会議員に初当選して以来5期連続で県議を務め、福祉分野では県肢体不自由児協会理事長などを歴任するなど地方政治で実績を積みました³。2009年には父の後継として衆議院議員選挙(千葉1区)に挑戦しましたが落選⁴。その後も県政に注力し、地域の声を政治に届ける活動を続けました。
そして2022年7月の第26回参議院議員通常選挙で千葉県選挙区から自民党新人候補として立候補し、公明党の推薦も受けて選挙戦を戦いました。選挙では656,952票を獲得し、改選数3の激戦区で1位当選を果たしました⁵。
現在は当選から約3年が経過し任期折返しを迎える時期で、本報告では2015年から2025年6月までのインターネットで確認できる臼井議員の政治活動を網羅的に分析します。臼井氏の議員経歴、政策理念、立法活動、発言傾向、党内活動、政治資金、そして公約の履行状況を詳細に描出し、有権者がその歩みとスタンスを立体的に理解できるようにすることが本レポートの目的です。
臼井氏が参院選に臨んだ際の選挙公報やマニフェストには、キャッチフレーズとして「決断と実行。暮らしを守る。」という力強いスローガンが掲げられました。千葉で生まれ育ち千葉を愛する臼井氏は、「千葉県から次世代の日本を創る」というモットーの下、地域密着型の視点と国家観を両立させた政策を提示しています⁶。
公報では9つの政策柱が示され、まず筆頭に「憲法改正」が挙げられました。安全保障環境が厳しさを増す中で、日本の平和と独立を次世代に引き継ぐため自ら改憲論議をリードする決意を示しています。実際、臨時国会の衆参憲法審査会で憲法議論を前進させる意気込みが語られ⁷、保守政治家として憲法改正実現に強い熱意を持つことが窺えます。
また、「新型コロナ対策」も大きな柱でした。臼井氏はコロナ禍で苦しむ国民生活への支援策を訴え、経済と感染防止の両立にバランスある対応を求めています。例えばマスク着用の緩和や感染症分類の見直しについて、選挙前のアンケートで「脱マスクは積極的に進めるべき」「コロナの感染症法上の扱いは5類へ移行すべき」と前向きな姿勢を示しており、経済活動の正常化に力点を置いていました⁸⁹。
さらに「経済再生」に関しては、地元千葉の産業振興策や物価高騰からの生活防衛策を掲げ、物価高に苦しむ家計への減税・給付など積極財政による対応を提案しました。「農林水産業の振興」も柱の一つで、農業県でもある千葉の代表として農漁業者支援や食料安全保障の強化を訴えています。
加えて「教育改革」ではいじめ防止条例の制定に携わった県議時代の経験を踏まえ、教育環境の充実や奨学金支援策を約束しました。「環境対策」では脱炭素社会への対応と災害対策を両立させ、「防災・減災」では千葉県が台風や地震に備える重要性を強調しています。
さらには「持続可能な医療福祉」として高齢化社会への地域包括ケア強化、そして「強い外交・安全保障」では防衛力の抜本的強化(例えば防衛費の安定財源確保)を掲げるなど、国政全般にわたる意欲的な公約を示しました。
公約文から頻出するキーワードを分析すると、「日本」「千葉」「支援」「経済」「安心」「子ども」といった言葉が上位に並びます。これらから、臼井氏の政治姿勢は郷土愛に根差した生活者目線と国家像を語る保守理念の両面を持つことが浮かび上がります。
地域の暮らしを守り抜く現実的な政策(例えば子育て支援や物価対策)に重点を置きつつ、憲法改正や防衛力強化といった国家的課題にも果敢に取り組もうとするバランス感覚が公約全体を貫いていました。