片山さつき議員は自由民主党所属の参議院議員(比例代表)で、2010年、2016年、2022年と参院選に3回連続当選したベテラン政治家です¹。
もともとは大蔵省(現・財務省)の官僚出身で、東京大学法学部卒業後に入省し、主計局主計官など女性初の要職を歴任しました²。2005年に小泉純一郎首相の誘いで財務省を退官し、同年の衆院選に静岡7区から出馬して初当選(衆議院議員1期)³。
その後2009年の総選挙で落選するも、2010年の第22回参議院選挙で全国比例区からトップ当選し国政に復帰しました²。以降、参議院議員として通算3期(衆議院も含めれば4期)在職し、党副幹事長や総務会長代理、政務調査会長代理など要職を歴任しています⁴⁵。
2018年には第4次安倍改造内閣で地方創生担当・規制改革担当大臣などを務め、閣僚経験もあります⁶。2022年6月には清風会(参院安倍派)に入会し、参議院決算委員長にも就任しました⁷。
本レポートでは2015年から2025年6月までの10年間を対象に、片山議員の政策・立法活動を包括的に分析します。財政金融から社会保障、地域政策まで幅広い分野で存在感を示してきた軌跡を辿り、掲げた公約の実現度や政治姿勢を読み解きます。
片山さつき議員の直近の選挙公報(2022年参院選比例区)には、「日本を救う!『経済』と『安全保障』の第一人者!」といった力強いキャッチコピーが掲げられていました⁸。
元財務官僚として培った経済金融の知見と、防衛・安全保障分野での経験を前面に出し、コロナ禍後の経済再生や国防力強化を中心に訴求していたのが特徴です。実際、公約ではコロナ対策と物価高克服、産業競争力の強化、そして少子高齢化への対応に重点を置いています。
たとえば「決断と実行。暮らしを守る。」とのテーマの下、無利子融資や地方交付金で企業と家計を支える施策、EV・水素など次世代エネルギー技術への支援、デジタル田園都市(スーパーシティ)構想による地域活性化などが盛り込まれました⁹¹⁰。
安全保障面では防衛費増額の財源確保策や経済安全保障法制の推進も掲げ、経済と安全保障を車の両輪として位置付けています。また少子化対策として児童手当拡充や教育無償化の推進も謳い、子育て世代の支援にも言及しました。
選挙公報全体のキーワードを分析すると、「経済」「支援」「成長」「安心」「改革」「デジタル」「地方創生」などの語が上位に並びます。これらから、片山議員が経済成長と財政健全化の両立、地域の底上げ、安心できる社会保障という3本柱を重視している姿勢が浮かびます。
例えば「DX」「スーパーシティ」などデジタル改革や都市構想に関する言葉が頻出する点からは、先端技術で少子高齢化に挑む意欲が読み取れます。一方、「財政」「税制」といった言葉も多く、財政規律にも配慮するバランス感覚が伺えます。
総じて、公約には官僚時代からの専門分野である財政・金融政策の信念と、政治家として取り組む地域・社会課題への熱意が織り交ぜられており、スローガン通り"決断と実行"を旗印に現実的な政策を提示していたと言えるでしょう。
公約の柱を具体策で見ると、まず経済再生策として「コロナ対策の無利子融資拡充と地方創生臨時交付金の確保」があります。片山議員は党金融調査会長代理として、コロナ禍で中小企業向けの無利子・無担保融資制度を立案し、実際に相当な規模での資金供給で倒産の急増を防いだことを実績に掲げています¹¹。
また自治体が自由に使える交付金を大規模に確保するアイデアも提案し、物価高騰下の地域支援に充てさせたと公言しています¹¹。
次に産業競争力では「国益第一の産業国内回帰策」を掲げ、EV(電気自動車)から合成燃料、さらには水素エネルギーまで「全方位の自動車政策」を推進すると訴えました¹²。これはガソリン車関連産業やガソリンスタンド網の急激な縮小を防ぎつつ、脱炭素技術への転換を図る狙いです。