鬼木誠議員の政治活動総覧(2015–2025)

概要

鬼木誠(おにき まこと)議員は、1963年福岡県生まれの政治家で、自治労(全日本自治団体労働組合)出身の労働運動家から政界に転じた異色の経歴を持ちます¹

2022年7月の参院選比例区で立憲民主党公認で初当選し、参議院議員(当選1回)として活動しています。現在は立憲民主・社民会派に所属し、参議院内閣委員会や行政監視委員会、災害対策特別委員会の理事などを務めています²

自治体職員として約40年勤務し、自治労福岡県本部委員長や自治労本部書記長まで上り詰めた労働組合のリーダーであり、その経験を背景に国政では地域公共サービスの充実や労働者の処遇改善を訴えています¹³

本レポートでは、2015年から2025年までの鬼木議員の政治活動を総覧し、公約や立法、国会質疑、党内活動、政策実現度について包括的に分析します。

1. 選挙公報・マニフェスト分析

鬼木議員の直近選挙(2022年参院選)における公約をひもとくと、「公共サービスの充実」「全世代型の社会保障の構築」「格差のない持続可能な社会」「ジェンダー平等社会」「平和外交の推進」「脱原発と地域分散型エネルギーへの転換」という6本柱が掲げられていました³⁴

スローガンとしては"公共サービスの『誠』のために"を掲げ、長年自治体職員・自治労役員として現場を支えてきた経験から、「公助を軸とした社会の実現」に強い意欲を示しています³

公約文面では「実現」「社会」「公共サービス」「持続可能」「実現」といった言葉が頻出し、国や自治体による手厚い支援と公正な社会保障を実現する決意が読み取れます。たとえば"自然災害、コロナ禍で公共サービスの大切さが浮き彫りになった。公共サービス職場の待遇を改善し、ともに支えあう社会を実現する"³と謳い、現場の士気向上なくして国民生活の安心はないとの信念を強調しました。

キーワード上位には「公共」「社会」「格差」「平等」「平和」「エネルギー」などが並び、鬼木議員が地域公共サービスの維持、社会的弱者の包摂、所得格差是正、ジェンダー平等、脱原発と再生エネ推進といった分野を重視していることがうかがえます。

総じて、自治体・労働現場の目線から市民の暮らしを支える政策に軸足を置いた公約であり、地方行政出身者らしい「現場主義」「生活者目線」が貫かれていました。

2. 法案提出履歴と立法活動

参議院議員となった鬼木氏の立法活動を振り返ると、野党の新人議員という立場上、自ら主導した法案提出は多くありません。ただ、その中で注目すべきは2025年5月に超党派で参院に提出された「子どもの朝の居場所支援に関する法律案」です

この法案は、登校前に一人で過ごす児童を見守り支援する「朝の居場所」を整備する内容で、鬼木議員は立憲民主党のこども政策部門会議での議論に参加し、賛同者の一人として提出に加わりました

背景には共働きやひとり親家庭の増加に伴い、早朝に孤立しがちな子どもの安全を確保する課題があり、鬼木議員は「チルドレンファースト」の視点で政策提案に関わったと述べています。この法案は参院で審議入りしましたが(2025年5月時点)、成立に至ったとの記録は確認できません。

政府提出法案への関与

一方、政府提出法案への関与では、安全保障関連法案や災害対策法案などで会派を代表した質疑・討論に立つ場面が目立ちます。

例えば2025年4月、参院本会議で政府提出の「災害対策基本法等改正案」が審議入りした際には、鬼木議員が立憲民主・社民会派を代表して質問に立ちました。阪神淡路から東日本大震災までの経験を踏まえ「過去の災害から何を学び、何を学べなかったのか真摯に問い直す」と訴え、避難所環境の劣悪さや災害関連死の問題など現場目線で課題を提示しました⁷⁸

また2025年5月には、政府提出の「能動的サイバー防御関連2法案」に賛成の討論を行い、防衛力強化とプライバシー権の両立を厳しく求めています⁹¹⁰