石川博崇(いしかわ ひろたか)議員は、公明党所属の参議院議員(大阪府選挙区選出)で現在3期目、2010年7月の初当選から現職まで在職約15年を迎えている¹。
1973年大阪府豊中市生まれで、創価大学工学部を卒業後、1996年に外務省に入省し中東各国で勤務、中東・アラビア語の専門家として歴代首相の通訳も務めた経歴を持つ²。2009年に外務省を退官し政界入り。2010年の第22回参院選・大阪選挙区(当時定数3)に公明党公認で初出馬し、トップ当選を果たした¹。
以後2016年(第24回)・2022年(第26回)と連続当選し、現在まで大阪の代表的公明党議員として活動している。党内では青年局で頭角を現し、2013年に公明党青年委員長に就任³。
第2次安倍改造内閣~第3次安倍内閣では防衛大臣政務官兼内閣府大臣政務官を歴任し、公明党から初の防衛政務官として安全保障政策にも関与した⁴。現在、公明党参議院政策審議会長および大阪府本部代表を務め、党の要職で政策調整や組織運営を担っている⁵。
中東外交の専門知識と大阪府出身の地盤を活かし、「世界が鍛えた実行力」をキャッチフレーズに国内外の課題に取り組む政治家である⁶。
本レポートでは、2015年から2025年6月までの約10年間にわたる石川氏の政治活動を、選挙公約の分析、立法活動、国会発言、党・議員連盟での役割、政治資金・倫理、広報戦略、公約実現度の観点から包括的に検証する。石川氏の足跡をたどることで、有権者がその政策遂行能力と政治姿勢を立体的に評価できる材料を提供したい。
石川氏の直近の選挙戦となった2022年7月の第26回参院選(大阪選挙区)における公約・政見を見ると、「大阪を前へ 抜群の実現力」というスローガンを前面に掲げ⁷、自身の実績と今後の政策ビジョンを訴えていた。公明党特設サイトや選挙公報から窺える主な柱は次の通りである。
元外交官として培った国際感覚とネットワークを活かし、2019年のG20大阪サミットや2025年大阪・関西万博の誘致推進に貢献した実績を強調⁸。今後も大阪を世界が注目する都市に引き上げるため、インフラ整備や観光促進に全力を挙げると訴えた。
例えば万博成功に向けては、なにわ筋線・淀川左岸線など鉄道・道路整備の推進を公約に掲げ⁹、訪日観光客の受け入れ拡大策(ビザ要件緩和など)による経済効果にも言及した¹⁰。
実際、石川氏はG20大阪サミット開催誘致や万博招致の推進に公明党大阪代表として尽力し、「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」(海洋プラごみ削減の国際目標)をサミット合意に盛り込むなどの成果に関与している⁹。
新型コロナウイルス禍や災害から府民の命を守る対策も大きな柱だった¹¹。大阪府で医療体制が逼迫した際、自衛隊の医官派遣や大規模ワクチン接種会場の確保を政府に働きかけ実現したこと、「協力金」支給枠の拡大による飲食店等支援、さらには携帯電話料金引き下げなど生活負担軽減策を実現した実績を挙げ¹¹、今後も物価高や災害に対して機動的に支援すると約束した。
また「巨大地震対策の強化」に触れ、阪神・淡路大震災や大阪北部地震の経験を踏まえた防災・減災策の推進も公約としている¹¹¹²。実際、2018年の大阪北部地震直後には全国のブロック塀の安全対策強化を政府に促し、危険ブロック塀除去の補助拡充につなげた経緯がある¹²。
弱者支援やバリアフリーも石川氏の公約の重要なキーワードだった。具体的には「世界最高水準の新幹線車いすスペース実現」「大阪の主要駅へのエレベーター増設」「返済不要の給付型奨学金創設」など、過去の成果と今後の取り組みをアピールした¹³。
例えば、東海道新幹線への車いす席増設は、石川氏が赤羽国交相(公明党)らと連携して実現に漕ぎ着けたプロジェクトで、今後導入の新型車両では6席分に拡充される見通しである¹³¹⁴。