神谷宗幣議員の政治活動総覧(2015–2025)

概要

はじめに

神谷宗幣(かみや・そうへい)は、参政党の代表を務める政治家で、2022年7月の第26回参議院議員通常選挙で初当選した参議院議員(1期)です1。選挙区は全国比例区(非拘束名簿式)から立候補し、参政党として初となる国政の議席を獲得しました。参議院ではどの会派にも属さない「無所属」議員扱いで、主に財政金融委員会に所属しています1

1977年10月12日、福井県高浜町生まれの神谷氏は、関西大学文学部および法科大学院を修了後、一度は高校教師や実家のスーパー経営に携わりましたが、日本の若者の意識改革に志を抱き2007年に大阪府吹田市議会議員に初当選しました。市議を2期務める間の2010年6月には、地方議員らと「龍馬プロジェクト全国会」という保守系のネットワークを立ち上げ会長に就任し、各地の保守系若手政治家との連携を深めました3

2012年には自民党公認で衆議院選に挑戦するも落選、2015年には大阪府議選にも無所属で出馬しましたが落選しています。その後は政界を一時離れてインターネット番組「Channel Grand Strategy(CGS)」を開設して保守的な論客として活動しました3

参政党の結党と国政進出

転機は2020年です。神谷氏は同志とともに政治団体「参政党」を結党し、その事務局長に就任しました。参政党は既成政党に不満を持つ層をターゲットに、「自分たちの手で新しい政党を作る」という草の根運動から生まれた新党です。特定の支持母体を持たず、インターネット発信を武器に支持を拡大しました。

結党から2年後の2022年参院選で神谷氏が初当選し、党は国政政党要件も満たすことになります。その後分析期間末の2025年6月時点で、参政党は他党からの合流も含め国会議員が衆参合計で数名規模に増えつつあり、保守系ミニ政党として一定の存在感を示しています。

本レポートでは、2015年から2025年6月15日までの神谷宗幣氏の政治活動を包括的に分析します。市議退任後から国政進出までの助走、2022年の選挙公約とその後の国会での活動、法案提出や発言傾向、党内外での役割、政治資金の状況、SNS発信力、さらに公約と実績のギャップまで、インターネットで確認できる情報を網羅的にまとめました。有権者が神谷氏の歩みと政治姿勢を立体的に理解できるよう、事実関係を丁寧に追いながら記述しています。

1. 選挙公報・マニフェスト分析

「日本人ファースト」の政治理念

2022年7月の参院選で神谷宗幣氏が掲げた選挙公報・マニフェストには、参政党のカラーが色濃く反映されていました。スローガンの中心は「日本人ファーストの政治」です。これは「日本の国益を最優先する」という意味合いで、日本国内の暮らしや伝統を守ることを強調するメッセージでした。

政策の三本柱

具体的な政策の柱は大きく3分野に整理されていました。

第1に「子どもの教育」です。神谷氏は地方自治体が主体となって探求型のフリースクールを作れるよう法改正するといった教育改革を提案し、戦後の画一的教育からの脱却を訴えました。

第2に「食と健康、環境保全」で、予防医療や食の安全保障を掲げています。例えば医療資源の適正配分、ワクチンの強制に否定的な姿勢、そして有機農業の推進や環境との調和を図る政策などです。

第3に「国のまもり」、すなわち国防・安全保障で、外国人労働者の無秩序な受け入れ増に歯止めをかけることや、日本の伝統と主権を守る自主憲法制定への長期的意欲が示されました。

経済・社会保障政策