自見はなこ(本名・橋本英子)は自由民主党所属の参議院議員で、比例代表から当選した2期目の政治家である¹。
1976年生まれ、医師として小児科専門医の資格を持ち、日本医師会系の組織内候補として政界に入った経歴を持つ²。2016年7月の参院選で党内得票9位により初当選し³、2022年7月の参院選でも比例代表で6番目の得票数を得て再選を果たした⁴。
初当選以降、厚生労働大臣政務官(2019年就任)など政府ポストを経験し⁵、2023年9月には国際博覧会担当大臣及び内閣府特命担当大臣(沖縄・北方対策、消費者・食品安全、地方創生、アイヌ施策)に任命され初入閣した⁶。
在職中は医療・福祉政策を軸に活動し、党内では女性局長等を歴任している⁷。
本レポートでは、2015年から2025年6月までの約10年間にわたる自見議員の政治活動を、選挙公約の分析から立法活動、国会発言、政府審議会への関与、党内活動、政治資金・倫理問題、情報発信、そして公約の実現状況まで包括的に検証する。これにより有権者が同議員の歩みとスタンスを立体的に理解できることを目的とする。
2016年の初当選時は日本医師連盟の推薦を受け「医師・小児科医」として医療政策の充実を訴えて政界入りし⁸、直近の2022年参院選でも一貫して医療・子ども政策を中心に据えた公約を掲げた。
選挙公報(比例代表名簿掲載用リーフレット)では、「国民皆保険を守り、安心の医療・介護・福祉を次世代へ。」とのスローガンが大書されている⁹。
具体的には新たに「こども家庭庁」を創設し、「こどもまんなか」の社会を実現することを約束し、少子化対策や子育て支援にも全力を注ぐ姿勢を示した⁹。実際、公報には「安心して暮らせる社会づくり」の一環として医療・介護・福祉の充実と子ども施策の強化が強調されており、彼女自身が小児科医として現場で感じた課題を政策に反映した内容になっている。
公約文面から頻出するキーワードを分析すると、「医療」「こども」「福祉」「介護」「家庭」「社会」「安心」「次世代」「創設」「実現」などが上位に挙がる⁹。これらの言葉から、自見氏の政治姿勢として国民皆保険制度の堅持と充実、子どもを中心に据えた社会制度改革、そして高齢者介護や福祉まで含めた社会保障全般の強化という3本柱が浮かび上がる。
実際、自見氏は自身の公式サイトでも「誰もが安心して必要な医療・介護・福祉を受けられる社会をつくる」ことを第一の理念に掲げており、国民皆保険制度の発展や医療従事者の働き方改善、健康寿命の延伸といった項目を公約の柱として示している¹⁰。
加えて、こども家庭庁の創設など次世代への投資を強調した点は、自身が4人の子の母親(2021年に橋本岳衆院議員と結婚し、その連れ子を養子とした)でもある立場から、子育て支援の必要性を切実に訴えたものといえる¹¹。
全体として、自見氏のマニフェストは医療・福祉の専門家としての知見と、母親・女性としての視点が融合したものとなっている。医療提供体制の守りと子ども支援の攻め、この両面を強調することで「安心して暮らせる社会」の実現を目指す姿勢が明確であり、選挙戦でも日本医師会や医療関係者の強い支援を受けた背景には、こうした公約内容への共感が大きかったと考えられる¹²。
参議院議員となって以降、自見氏は主に与党議員として政府提出法案の審議に携わりつつ、自らも議員立法の立案・提出に関与してきた。医師出身らしく厚生労働分野の政策形成に積極的で、初当選から間もない2017~2018年頃には超党派の「成育基本法」成立に尽力したことが特筆される。