大津浩子(おおつ ひろこ)は、1959年東京都生まれの65歳¹。民主党系の国民民主党に所属し、参議院比例代表での国政進出を目指す政治家だ²。
かつて東京都議会議員を5期18年間務め、警察・消防委員長や防災特別委員長など要職を歴任した実績を持つ³。跡見学園女子大学卒業後、石川島播磨重工業(IHI)で国際部門などに勤務した経歴があり⁴、2003年11月の東京都議補選で初当選してから都政一筋に歩んできた⁵。
無所属議員として都民の声を都政に届け続け、2017年には小池百合子知事の都民ファーストの会に合流して5選を果たした⁶。しかし2021年都議選では惜敗し、都政を離れることに⁷。その後、国民民主党の比例候補「新人」として2022年7月の第26回参議院議員選挙に挑戦したが当選には至らず、現在も"候補者"の立場にある⁸。
本レポートでは2015年から2025年までの公開情報を通じ、大津氏の政策・活動を多角的に分析する。有権者が彼女の歩みとスタンスを深く理解できるよう、都議会での経験から最新の国政課題への対応まで、事実に基づき網羅的に記述することを目的とする。
大津浩子氏は直近の参院選に向け、壮大なビジョンを掲げた選挙公報・マニフェストを提示している。その核となるのが、日本社会に横たわる「8つの壁」という問題提起だ⁹。
彼女は「30年間に厚く高くなった構造的な『壁』」によって日本が劣化していると捉え、「小さな声を力に換えて結集し、一緒に乗り越えよう!」と有権者に呼びかけた¹⁰。このスローガンには「心の底からのびのびと自分らしく生きたい」という願いを実現するため、一人ひとりの声を束ねて改革を起こそうという決意が込められている。そして「誰一人取り残さない」温かい社会を目指す姿勢は、公報の随所に表れている¹¹。
8つの壁とは、(1)経済政策の壁、(2)安全・安心の壁、(3)子育て・介護環境の壁、(4)医療体制の壁、(5)働き手の壁、(6)エネルギー・インフラの壁、(7)教育の壁、(8)デジタル化の壁である¹²。各分野ごとに現状の課題を分析し、具体策を提示しているのが特徴だ。
物価高と実質賃金の低迷、いわゆる「働き損」の構造を打破するため、成長と分配の好循環を掲げる¹³。具体策として、消費税については生活必需品や公共料金への軽減税率拡充や定額減税の恒久化を提案¹⁴。また年収の壁(130万円・150万円問題)を解消する社会保険改革や、中小企業の賃上げ企業への法人税優遇などで手取り収入を増やし、働き手の意欲を高めるとしている¹⁵。
これらは物価高に苦しむ家計への支援策でもあり、昨今のインフレ対策論議とも通じる(2025年4月、石破首相は記者会見で食料品の消費税率引き下げに否定的な考えを示したが¹⁶、大津氏は消費減税や給付による直接支援の必要性を訴えている)。
相次ぐ自然災害や特殊詐欺など地域社会の不安、そして「おひとり様」世帯の孤立など見えない危機に対応するため、防犯・防災を政策の基本に据えると宣言¹⁷。行動指針では「平和こそすべての土台」とも述べ、テロや有事への備えも含めた広い意味での安全安心社会を目指す¹⁸。
施策としては福祉避難所の整備や消防団への報酬増額による地域防災力の強化、闇バイト犯罪への教育的対策などを挙げた¹⁹。実際、都議会議員時代には2020年東京五輪を控えたテロ対策強化を警視庁に質すなど、安全保障分野でも積極的に発言している²⁰。
昨今、防衛費増額の財源として法人税4%上げ・たばこ税段階増などの国の増税策が決まりつつあるが²¹、大津氏は「安全を守る」立場から防衛力強化に理解を示しつつも、財源確保は景気を冷やさぬよう慎重に行うべきとの考えだ。平和外交努力も重視するなど、単に軍備拡張に偏らないバランス感覚をアピールしている。
少子高齢化の中、ヤングケアラーや老老介護の孤立、育児と仕事の両立といった問題に焦点を当てる²²。大津氏は「子育て家庭を孤立させない、介護の共倒れを起こさせない」社会を掲げ、学校・地域・行政が連携した支援策を提案した²³。