足立康史候補の政治活動総覧(2015–2025)

概要

足立康史(あだち やすし)氏は大阪府出身の政治家で、元経済産業省官僚という経歴を持ちます。1965年10月14日生まれの足立氏は京都大学大学院を修了後、通商産業省(現経済産業省)に21年間奉職し、東日本大震災を機に2011年に退官し政界へ転じました¹

2012年衆院選で大阪9区から日本維新の会公認で初当選し、その後衆議院議員を4期12年務めています²。維新では国会議員団政務調査会長(政調会長)や憲法改正調査会長、幹事長代理、コロナ対策本部事務局長など要職を歴任し、党政策の取りまとめに深く関わりました³

2022年には日本維新の会代表選に出馬し、党執行部との路線対立が表面化します。党内での懲罰処分(6か月の党員資格停止)を経て、2024年10月に維新が対抗馬擁立を決めたことを受け、次期衆院選不出馬と政界引退を表明しました

しかしその後、維新を離党して国民民主党に合流し、2025年には同党参議院比例区の公認候補に就任、夏の参院選に向けて活動を再開しています

地元大阪を拠点に、「透明で公正な政治行政」と「安心な社会」を掲げて新たな政治を目指す姿勢を強調しており、経産官僚としての行政経験と国会議員としての実績を踏まえ、戦後最大の危機とも言われる内外の課題に挑む意欲を示しています

所属政党と選挙区

足立候補は2012年の初当選以降一貫して大阪府第9区(茨木市・箕面市・豊能郡)を地盤とし、2012年・2014年・2017年・2021年の衆院選で当選を重ねました。2017年は小選挙区で約2千票差で敗れたものの比例復活で再選、2021年は小選挙区で圧勝し4選を果たしました

当初は大阪維新の会(のち日本維新の会)に所属し、維新の創設期からのメンバーとして活動しましたが、上述の党内対立の末に2024年に離党。2025年に国民民主党へ移り、参院全国比例区からの立候補予定者となっています

在職中は衆議院では文部科学委員会や内閣委員会などで活躍し、斬り込み役として政府与党にも野党にも厳しい質疑を展開しました。足立候補の政治経歴には、官僚出身らしい政策通の一面と、歯に衣着せぬ発言で物議を醸す一面が混在しており、それが彼の知名度と存在感を押し上げる一因となっています。

分析対象期間

本レポートでは、2015年から2025年6月までの約10年間を対象に、足立康史候補の政策・議会活動を包括的に分析します。2015年は彼が維新の党に所属し二期目の議員として活動を本格化させた頃であり、2025年6月時点は参院選直前で国民民主党公認候補として再起を図っている時期に当たります。

この間、日本の政治は安倍晋三・菅義偉・岸田文雄と続く政権の下で大きく動き、足立候補自身も所属政党の合併・分裂や政策論争の前線で多忙な歳月を送りました。本レポートの目的は、有権者が足立候補の足跡を深く理解し評価できるよう、公約と実績のギャップ、立法成果、発言内容、党内外での役割、資金やスキャンダルの有無などあらゆる角度から事実を検証し、足立康史という政治家の実像を浮き彫りにすることです。

1. 選挙公報・マニフェスト分析

基本理念と政治姿勢

足立康史候補の直近の選挙公報(2021年衆院選および2025年参院選公約)には、スローガンとして「国民の力で日本に新しい風を吹かす」というフレーズが大きく掲げられています¹⁰。実際、足立候補の公式サイトのタイトルも「日本に新しい風を」となっており、このキャッチコピーに彼の政治姿勢が象徴されています¹¹

2012年の初陣以来、足立候補は一貫して「新しい政治の実現」を訴えてきました。大阪維新の会の創設メンバーとして既成政党の打破を掲げた経緯もあり、「透明な行政・公正な経済・安心な社会」という三本柱で改革を呼びかけています¹²

2021年の選挙公報を見ると、「透明、公正、そして活力」というキーワードが前面に出され、行政の透明化や既得権益との決別、公平な経済政策による活力創出が強調されていました¹³。また、同公報では「新しい政治・新しい行政・新しい経済社会」という3つの改革を掲げ、これは足立候補の基本理念として繰り返し訴えているテーマです¹⁴

政策項目と頻出キーワード