赤嶺昇(あかみね のぼる)氏は、日本維新の会所属の政治家で、沖縄県出身。1967年ブラジル生まれ、幼少期に沖縄へ戻り、IT企業勤務を経て29歳で浦添市議に初当選した異色の経歴を持ちます¹。
浦添市議を2期務めた後、2004年に沖縄県議会議員に転身し、以降5期連続当選。県議会では文教厚生委員長、副議長などを歴任し、2020年6月には第18代県議会議長に就任しました²。
2020年当時、沖縄は新型コロナ禍や原油高・円安による物価高に直面し、また周辺で中国・北朝鮮の軍事的緊張が高まる困難な情勢下でしたが、議長として議会運営を取り仕切り県政に貢献しました³。
その後、2022年の参院選に維新公認で比例区から国政を目指しましたが落選。2024年の衆院選(沖縄2区)にも挑戦するも及ばず、現在は議員職に就いていません。しかし地元では知名度が高く、日本維新の会沖縄県総支部の幹事長に起用されるなど党組織の要職を担い、2025年7月の参院選比例代表に再び名乗りを上げています⁴。
本総覧では、2015年から2025年までの10年間における赤嶺氏の政治活動を、掲げた政策とその実績を軸に多角的に分析します。沖縄県政で培った経験を背景に、国政挑戦に至る軌跡と、公約の達成状況を客観的に評価することが目的です。
赤嶺候補は直近の選挙公報やマニフェストで、沖縄の未来を託す大胆なスローガンを掲げました。2025年参院選に向けた記者会見では「日本を牽引する沖縄の新しい未来を築く」というキャッチフレーズの下、日米地位協定の抜本改定を第一優先に挙げています⁵。
これは在日米軍による事件事故や基地負担の是正を長年訴えてきた沖縄の民意を国政で実現しようという強い意志の表れです。加えて赤嶺候補は、「沖縄関係予算を県民の納税額相当に増額せよ」と主張し、将来的には沖縄を単独の「自治州」に格上げして基地問題や経済振興の権限移譲を図る構想も示しました⁶。
つまり、国に依存せず沖縄自らが決定権を持つことで、自立的な地域振興と基地負担軽減を両立させようという大胆な地域主権戦略です。
経済・社会政策では、コロナ後の物価高騰に直面する生活支援として「食料品の消費税を2年間ゼロ」にする時限措置や、社会保険料の負担見直し(事実上の減負担)を掲げ、家計を直接潤す公約を打ち出しました⁷。
これらは物価高に苦しむ沖縄県民の切実な声を汲んだもので、国政でも大胆な減税・給付措置が必要との訴えです。また沖縄県議会で全会一致で可決された数々の建白書・意見書(例えば米軍基地問題や子どもの貧困対策など)を「国会で必ず代弁する」ことも約束しています⁸。
地方議会の総意を国政に届けるという姿勢からは、地方と国の架け橋になる決意がうかがえます。
こうしたマニフェストの頻出キーワードを分析すると、「沖縄」「基地」「自立」「経済」などが上位に並びます。実際、赤嶺候補の政策ビジョンは一貫して「沖縄を日本の牽引役に」という地域主導の発想で貫かれており、基地問題と経済振興という沖縄の最重要課題に真正面から取り組む姿勢が浮かび上がります。
また本人が長年力を注いできた子どもの貧困・福祉も重要な柱です。県議時代から「待機児童や学童保育など児童福祉の充実」に尽力し、「沖縄の子どもたちのための政策」をライフワークとしてきたと語っており⁹、マニフェストにも教育・子育て支援策を盛り込んでいます。
総じて、公約から読み取れる赤嶺候補の政治姿勢は、沖縄の自己決定権拡大と社会的弱者への目配りという二本柱に集約されるでしょう。