江原久美子候補の政治活動総覧(2015–2025)

概要

江原久美子(えはら くみこ)は国民民主党所属の政治家で、埼玉県を地盤に活動している。1970年埼玉県深谷市生まれの54歳¹。大学院で環境政策を学び、卒業後は衆議院議員秘書を務めた経験も持つ。大学院時代にはケルン大学(ドイツ)に留学し、廃棄物・環境政策を研究した²

2007年に地元深谷市議会議員選挙に初当選し、2011年には埼玉県議選に挑むも僅差で落選。しかし諦めず、2015年の埼玉県議会議員選挙で初当選して以降3期連続で当選を重ねた³。県議として在職中は無所属系会派に属し、幹事など要職も務める一方で、2022年に国民民主党埼玉県参議院選挙区第1総支部長に就任して参院選に挑戦した

2022年7月の参院選埼玉選挙区では落選となったが、2025年の次期参院選に向け再び立候補を表明し、県議会議員の職を2025年5月26日に辞して本格的な国政挑戦に踏み出している

本レポートでは、2015年から2025年6月までの彼女の政治活動を網羅し、有権者がその歩みと姿勢を立体的に理解できるよう分析する。


1. 選挙公報・マニフェスト分析

社会保障政策の重点

江原氏の最新の公約を読み解くと、社会保障から地域活性化まで幅広い政策に情熱を注いでいることがわかる。直近の2022年参議院選挙で示したマニフェストでは、「おひとりさまが安心して暮らせる社会」を掲げ、高齢者や単身世帯の孤独・孤立を防ぐための具体策を並べた

彼女は"5つのゼロ+α"と称し、「発見遅延死ゼロ」「詐欺被害ゼロ」「住宅確保困難者ゼロ」「孤独・孤立ゼロ」など誰も取り残さない福祉を目標に据えている。たとえば一人暮らし高齢者が孤立死しないよう見守りサービスの充実を図り、認知症高齢者が行方不明にならないようGPS端末の普及を推進するといった具合である

また、自動運転バスの導入支援によって高齢ドライバーが免許返納後も移動に困らない社会を目指し、終活支援や任意後見制度の簡素化など法整備にも言及した¹⁰。これらは超高齢社会に備える地域福祉の充実を物語っている。

現役世代・若者支援政策

同マニフェストの第二の柱は「働きざかりと若者の味方に」で、現役世代の可処分所得と時間の双方を増やす大胆な施策が並ぶ¹¹。具体的にはパート収入の"103万円の壁"を引き上げて手取りを増やす税制改革や、「可処分時間確保法」の制定によるワークライフバランス推進を提唱した¹²

教育分野では「高校まで教育無償化」をうたい、児童手当など各種子育て支援の所得制限撤廃も明記¹³。実際、この所得制限撤廃と支給対象拡大は2024年に政府が児童手当制度拡充で実現しており、江原氏の主張と軌を一にするものとなった¹⁴

さらに給食費や修学旅行費の無償化、給付型奨学金の拡充、教員給与の改善による教員不足解消など、子ども・若者支援策が網羅されている¹⁵。頻出する「無償化」「支援」「推進」といったキーワードからは、将来世代への投資を惜しまない姿勢が浮かび上がる。

江原氏は「ひとづくりは国づくり」との信条を掲げており、教育と若者支援を国家戦略の中心に据える考えが伝わってくる¹⁶

地域活性化への取り組み

第三の柱「埼玉から日本を元気に」では、地元埼玉の潜在力を日本全体の成長につなげるビジョンが示された¹⁷。深谷市(渋沢栄一の生誕地)や秩父・川越といった観光資源、全国一の精米生産量を誇る農業、首都圏の物流拠点という地の利――こうした強みを活かし、「経済×環境」の両立を図るとした¹⁸

具体策として物流拠点の誘致で効率化しつつ排ガス削減を進め、リモートワーク普及策で自然豊かな県北地域への移住・定住を促すことで地域経済と環境保全を両立させる狙いである¹⁹