大岸真弓(おおぎし・まゆみ)氏は、日本共産党所属の政治家で、長年にわたり高知県香美市の市議会議員を6期務めてきたベテラン地方議員です。1952年2月5日生まれの72歳で、地元では地域福祉や暮らしの支援に尽力し、市民の信頼を得てきました。
2022年7月の第26回参議院議員通常選挙では日本共産党の比例代表候補として国政に挑戦しましたが、当選には至りませんでした¹。
しかし彼女は党高知県東部地区常任委員として活動を続け、2025年夏の次期参院選にも比例区新人候補として再び名を連ねることが決定しています¹。
本レポートでは、2015年から2025年までの約10年間を分析対象期間とし、大岸氏の政治経歴と活動実績を振り返ります。その上で、掲げた公約の内容や実現状況、国会・地方での発言や取り組み、政党内での役割、そして政治資金や情報発信の状況まで、幅広く事実に基づき包括的に検証します。
大岸氏が歩んできた軌跡を物語ることで、有権者が彼女の政治姿勢と成果を深く理解できるようにすることが本レポートの目的です。
大岸候補が国政に初挑戦した2022年参院選での公約やスローガンをまず見てみます。比例代表候補のため個人名での選挙公報はなく、党全体の公約を担う形でしたが、彼女は地方議員として培った経験を背景に「平和でも、暮らしでも、希望が持てる日本に」という日本共産党の標語の下で戦いました²。
このキャッチフレーズには、憲法9条を守り平和を追求することと、国民の暮らしを支える経済政策の両立への強い意志が込められています。実際、党の政策集には「今度の参議院選挙は、平和と憲法にとっても、暮らしと経済にとっても、日本の進路が問われる大切な選挙です。日本共産党の躍進こそ、平和でも暮らしでも希望が持てる日本をつくる最大の力になります」と明記されており²、彼女もこれを各地で訴えました。
公約の柱は大きく三点ありました。
第一に平和外交の推進です。ロシアによるウクライナ侵攻や東アジアの緊張を背景に、憲法9条の精神を生かした外交で戦争を防ぐこと、そして日本政府に核兵器禁止条約の批准を求める姿勢を明確に掲げました。大岸氏自身、地方議会でも核兵器廃絶を求める意見書採択に尽力した経歴があり、平和運動への思いは強いといえます。
第二に暮らし・経済対策として、消費税の減税を含む家計応援策や最低賃金引き上げによる賃上げの実現、社会保障の充実が訴えられました。特にコロナ禍と物価高騰に苦しむ生活者を支えるため、一時的に消費税率5%への減税を行うことや、年金削減の中止、教育無償化などを公約に盛り込みました。
第三にジェンダー平等と子育て支援です。選択的夫婦別姓の実現やLGBTQ差別解消法制定など男女平等社会の推進、そして児童手当拡充や保育・学費負担軽減によって少子化に歯止めをかける政策を強調しました。
加えて気候変動対策として2030年までの石炭火力ゼロや原発のない社会づくりも掲げ、地域産業の再生にも触れるなど、多岐にわたる政策を示しました。
彼女の選挙公約文から頻出したキーワードを分析すると、「平和」「暮らし」「憲法」「減税」「子ども」「福祉」「賃上げ」「原発ゼロ」「地域」「民主主義」などが上位に挙がっていたと推測されます。中でも「平和」と「暮らし」は最も繰り返される言葉で、日本共産党の平和主義と庶民派の立場を象徴しています²。
これらの言葉遣いから、大岸候補の政治姿勢は反戦・護憲を貫きつつ、社会的弱者や地方の生活を守ることに重点を置いていることが読み取れます。実際、香美市議時代から子育て支援策の提案や高齢者施策の拡充などに熱心で、地域の声を政策に反映させる姿勢を貫いてきました。