松田美樹(まつだ みき)候補は、NHK党(旧称:NHKから国民を守る党)所属の政治活動家であり、不動産会社役員の経歴を持つ。東京都出身、東京家政大学中退後に政治の道に入り、2019年に東京都新宿区議会議員選挙で初当選した。
しかし区内居住実態がないとして当選無効となる波乱のスタートを切った¹⁹。その後、2021年東京都議選練馬区、2022年第26回参議院議員通常選挙東京選挙区など国政・地方選に挑戦し続けている。
2022年参院選では東京選挙区からNHK党公認で立候補し5万3032票を獲得したが落選²⁰。通算当選回数は区議時の一度のみで国政経験はないが、党首・立花孝志氏の下で党の政策発信やSNSでの情報発信を活発に行ってきた。
分析対象期間は2015年から2025年6月15日までであり、本レポートでは松田候補の政策公約から立法活動、言論姿勢、党内役割、政治資金、SNS戦略、公約実現度までを網羅的に検証する。特に松田候補が2025年7月実施予定の第27回参議院議員通常選挙に再び東京選挙区から立候補予定であることも踏まえ、有権者が評価できる材料を提示する。
松田美樹候補の直近の大規模選挙である2022年参院選東京選挙区における選挙公報を分析すると、そのスローガンは「NHKをぶっ壊す」を前面に掲げたワンイシュー型のものであった。
公報にはNHKのスクランブル放送実現や受信料制度の見直しが大書されており、NHK党の基本公約を忠実になぞった内容だった²¹。
具体的政策としては、「NHK受信料の義務化反対」「政治家の既得権益打破」「情報公開の徹底」が挙げられ、いずれも反既成政党・反官僚的なスタンスが浮かび上がる。
マニフェストに頻出する上位キーワードは、独自集計では「NHK」「スクランブル」「受信料」「政治腐敗」「情報公開」などであった(例えばNHKスクランブルが最多出現、政治腐敗や行政改革も複数登場)。
これらから読み取れるのは、松田候補が一貫してNHK問題を軸に政治腐敗の追及や行政改革を訴えていることである。NHK党はそもそもNHKのスクランブル放送実現を唯一最大の公約としており、松田候補もそれに忠実だ。
公約の柱は他に、消費税減税やコロナ禍でのマスク義務撤廃など時事的なものもあったが、全体としては「既得権と闘う小さな政府志向」の姿勢が読み取れた。
例えば「放送受信料を支払わない国民を守る」といった文言に象徴されるように、市民の自由と負担軽減を強調する一方で、伝統的な保守政策(憲法改正や安全保障)には触れが少なく、争点を限定していたことが特徴的だ。
以上より、松田候補の重点分野はメディア改革と政治倫理であり、庶民目線での改革派を自任していることが公報から伺えた。
国政での松田美樹候補自身の立法実績は皆無と言ってよい。候補は参議院議員に当選しておらず、衆議院議員経験もないため、国会への法案提出者としての履歴は確認できなかった。
また、他の議員の法案提出に賛同者や紹介議員として名を連ねた記録も公的データでは見当たらない。
そのため、本節では松田候補が携わった可能性のある政治運動や地方議会レベルの条例提案に触れる。2019年、新宿区議時代にはNHKの訪問員規制条例の制定を訴えていたとされる²²が、当選無効により実現せずに終わった。
また2021年都議選や2023年区議選(練馬区)への出馬に際して、選挙公約として「NHK訪問禁止条例」などを掲げていた。