畦元将吾(あぜもと・しょうご)候補は、広島県広島市出身の66歳(1958年4月30日生まれ、2025年4月30日に67歳)で、診療放射線技師や医療系IT企業経営者など異色の経歴を持つ政治家です¹。
国際医学総合技術学院(現:岐阜医療科学大学)で診療放射線技師の資格を取得し、放射線技師として病院勤務や医療機器メーカー勤務、さらには自ら医療IT企業を起業した経験があります。この豊富な実務経験を掲げて2013年と2016年に自由民主党公認で参議院比例区から立候補しましたが落選。その後、2019年7月に衆議院比例中国ブロックで繰り上げ当選し初当選²、続く2021年衆院選でも再選(通算2期)を果たしました³。
衆議院議員在職中には党厚生労働部会副部会長や党環境部会副部会長などを歴任し、第2次岸田改造内閣で厚生労働大臣政務官にも就任しています⁴。2024年の解散総選挙では惜しくも落選しましたが、党副幹事長など執行部の要職に起用されており⁵、現在は2025年7月の参議院議員選挙比例区からの国政復帰を目指して活動しています。
分析対象期間は2015年から2025年6月までの10年超に及びます。本レポートは、インターネットで確認できる情報を基に畦元候補の歩みと実績を多面的に検証することを目的としています。
畦元候補の直近の選挙公約を紐解くと、キャッチフレーズは「経験がある、実績がある、だから未来が拓ける」です⁶。自身の放射線技師・経営者としての経験を強調し、「声をかたちに!暮らしを守る!」とのスローガンも掲げています⁷。
具体的な政策は医療・福祉とデジタル改革に集中しています。最新の政策ビジョンでは大きく5本の柱を掲げており、その内容は極めて専門性が高く具体的です。
まず「認知症の予防・治療で健康寿命を延ばす」ことを最優先に据えています⁸。全国規模の認知症検診の導入や早期診断技術の普及、最新の治療薬「レカネマブ」などの早期承認・保険適用、公的資金による研究支援の拡充など、認知症対策を総合的に強化するプランです。
認知症患者と家族への支援として介護者への補助金や「認知症カフェ」の倍増も掲げ、教育現場や企業での啓発にも踏み込んでいます(例えば介護休業給付の給付率引上げやGPS見守りネットワーク全国展開など具体策が並びます)。
この背景には、高齢社会で「認知症の人が尊厳を持って暮らせる共生社会」を実現したいという思いが伺えます。実際、畦元氏は自身を「認知症対策がライフワーク」と語るほど熱意を示しており、国会でもこのテーマを度々取り上げています⁹。
公約文中で「認知症」という言葉は最頻出ワードの一つで、公約上位キーワードにも「支援」「強化」「研究」「早期発見」等とともに登場し、超高齢化社会への危機感と医療福祉充実への決意が読み取れます。
第二の柱は「がん治療革命:全国どこでも最先端治療を受けられる社会へ」という大胆なビジョンです¹⁰。具体策として、放射性同位元素Ac-225を用いた次世代放射線治療(ターゲットα療法)の普及、重粒子線・陽子線治療施設の全国展開、研究用原子炉「常陽」やサイクロトロンによる医療用アイソトープ国産供給体制の強化といった専門的項目が並びます¹¹。
また、高額ながん先進治療への公的保険適用拡大やAIによる診断支援の導入も掲げ、地方でも最新医療が受けられるようにするという意欲が伺えます。
畦元氏自身、医療技術者であり原爆被爆二世という経歴から医療と放射線に深い知見を持っており、こうした最先端医療への情熱が公約に色濃く反映されています。「放射線」「医療」「AI」などのキーワードも公約中で頻出し、医療テクノロジーによる地域格差是正に力点を置いていることがわかります。
第三に「診療放射線技師・臨床検査技師の待遇改善と医療環境の向上」という、まさに自身の専門職の地位向上策を掲げています¹²。医療専門職の処遇改善(給与引き上げなど)や業務範囲拡大、古い医療機器更新への支援、遠隔診断や医療DXの推進など、現場目線の政策が盛り込まれています。