金田峰生(かねだ みねお、1965年8月生まれ)は、日本共産党所属の政治家で兵庫県を拠点に活動している。神戸市長田区に生まれ、日本福祉大学卒業後、兵庫県保険医協会に勤務して医療保険の充実に取り組んだ経歴を持つ。
1999年には兵庫県議会議員選挙(定数3の神戸市西区選挙区)に初当選し、1期4年間務めた。県議時代には高齢者医療費助成制度の問題点を指摘するなど県の福祉政策見直しに貢献した。2003年の県議選では落選したが、その後も政治活動を継続し、日本共産党兵庫県常任委員や財政部長、国政改革責任者など党内役職を歴任している。
特に阪神・淡路大震災の被災者支援の経験があり、党県災害・復興対策委員会事務局長として2018年の西日本豪雨の直後から被災地調査や支援要望のとりまとめに奔走するなど、地域の危機対応にも深く関わってきた。
本レポートでは、2015年から2025年6月までの10年間を分析対象期間とし、金田氏の政策・選挙活動とその成果を多角的に検証する。有権者が候補者の歩みを立体的に理解できるよう、経歴や政策主張、立法活動の有無、党内外での役割、資金面のクリーンさ、情報発信の特徴、公約実現度までを網羅し、公平かつ具体的に描写することを目的とする。
金田峰生氏は直近の選挙公報で「今こそ命と尊厳を大切にする社会に」とのスローガンを前面に掲げ、弱者に優しい政治への転換を訴えている¹。
この「命と尊厳」というフレーズは、金田氏が大学時代に経験した悲劇――過労運転が原因のバス事故で友人を亡くしたことに端を発し、「利益より命を優先すべきだ」という怒りが政治参加の原点になったという自身の体験に根ざしたものである。実際、彼のマニフェスト全文で最も頻出する言葉にも「命」「尊厳」が含まれており、その理念が一貫していることが読み取れる。
公約の柱としては、暮らしと平和を守るための具体策が並び、例えば「消費税減税」や社会保障の拡充による家計支援、企業優遇の大型開発を見直して福祉予算に振り向ける財政政策の転換などが強調されている。
物価高騰から生活者を守るため、食料やエネルギーの自給力強化も重視しており、農林水産業を「国の基幹産業」に位置づけてコメ増産による食料自給率50%への引き上げを掲げた。実際、公約文中には「農林漁業」「食料自給率」「コメ増産」といった言葉が頻出し、日本の農業再生と食の安全保障がキーワードになっていることがわかる。
また、環境分野では「石炭火力発電・原発をやめ、再生可能エネルギーを活用」と明記し、気候変動対策と脱原発への強い意志を示している。
平和政策の面では「憲法を生かす政治」を標榜し、安倍政権下で進んだ安全保障関連法や憲法改正論議に対して真正面から反対する立場を鮮明にしている。実際、公約には「憲法9条改悪阻止」「戦争させない政治」といった表現や、安倍元首相による軍備拡張路線への批判も盛り込まれていた。
他にもTPP(環太平洋連携協定)反対や年金・医療の充実、教育無償化など、国民生活を底上げする左派政策が網羅されており、キーワード上位からは金田氏の重点分野が「社会福祉」「平和主義」「地域産業振興」にあることが浮かび上がる。
金田氏のマニフェストには、こうした政策を裏付ける具体的な施策や数値目標も散見される。例えば最低賃金については全国一律で大幅引き上げ(時給1500円を目指す)とともに中小企業支援策の充実を訴え、子育て支援では児童手当の拡充や高等教育の学費負担軽減を掲げた。
エネルギー政策では2030年代までに原発ゼロ、再生可能エネルギー割合大幅増という目標を示し、気候変動への危機感を示す。一連の公約から受け取れる印象は、「人間らしく暮らせる社会の実現」を軸に据えた福祉国家志向であり、企業利益や軍事よりも命と暮らしを優先する政治姿勢が明確である。